TBS系日曜劇場『VIVANT』(毎週日曜 後9:00)の第17話が放送された。自衛隊直轄の非公認組織「別班」と警視庁公安部が手を組み、別班員・乃木憂助(堺雅人)と公安部部長・佐野雄太郎(坂東彌十郎)が、公安内部に潜む裏切り者をあぶり出す展開となった。飯田和孝プロデューサーは、AIを物語に登場させた理由について「人間の体温までも感じてもらえる」と語っている。
野崎の告白とリュウの怒り
野崎の部下で民間情報機関「Xinxi(シンシー)」のメンバーだったリュウは、警視庁サイバー犯罪対策課の東条翔太(濱田岳)へ2回に分けて振り込まれた1億2600万円と1億6000万円の謎を解き明かす。第16話で乃木が読み解いた「π」の暗号の発想源が、ヒッチコック監督作品『引き裂かれたカーテン』にあることまで突き止めていた。
野崎は、別班員が助かる可能性にかけて乃木にシャキ城の場所を伝えたと認める。「お前たちとは格が違う」と言い切る野崎に、リュウは再び怒りを募らせる。リュウが見極めたいのは、野崎が潜入捜査のためにシンシーへ来たのか、そして本当に日本を裏切ったのかということだった。連れてこられたのは、野崎を探してゴルバド共和国まで来たエージェント・ドラム(富栄ドラム)。やせ細ったドラムにリュウが拳銃を向けても、野崎は沈黙を守るが、銃口がドラムの口の中へ押し込まれ、引き金に指がかかった瞬間、視聴者からは「野崎とドラムの関係性に泣く」と信頼に胸を打たれる声が上がった。
“奇跡の少女”ジャミーンが見抜いた公安の闇
乃木は佐野を自宅へ招き、同居するバルカの少女・ジャミーン(本間さえ)が力を発揮する。亡き父・アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)は、生前、彼女には人間の善悪を見抜く力があると語っていた。実際、100人以上の写真を見せた試験でも、ジャミーンは一度も間違えなかったという。別班の最高司令官・櫻井里美(キムラ緑子)は、彼女を“奇跡の少女”と呼んでいた。写真の中には元プロ野球選手・杉谷拳士も含まれていた。
ジャミーンはドラムのようにスマートフォンで会話し、日本語を理解できるようになったことがうかがえる。声を担当するのは大谷育江。ドラム(声・林原めぐみ)、AIハヤト(声・高山みなみ)と、国民的キャラクターを演じてきた声優陣が勢ぞろいした。
第15話で乃木が見せた写真に、山本巧(迫田孝也)には強い拒否反応を示し、野崎には微妙な反応、佐野には無反応だった。別班は佐野を尋問する前に見極めを済ませていた。公安部の捜査員たちの写真では、和久井俊作(田中俊介)と鈴木祥(内野謙太)に反応する。天才ハッカー“ブルーウォーカー”こと太田梨歩(花岡すみれ)が調査すると、和久井には問題があるもののシンシーとのつながりはなく、鈴木にも不審な点は見つからない。しかし乃木は、鈴木がたびたびイヤホンを装着していたことに着目。その形状は中国の工作員から押収されたものと一致した。乃木は第16話で登場した“AI乃木”の技術を応用した一手を仕掛ける。
成功率37% 別班員5人に下された決定
残る問題は、黒須駿(松坂桃李)、高田明敏(市川笑三郎)、和田貢(平山祐介)、廣瀬瑞樹(珠城りょう)、熊谷一輝(西山潤)の救出だ。衛星映像では5人と約200人の兵士がシャキ城から別の収容所へ移動したように見えたが、現地エージェントが収容所に潜入しても5人の姿はない。現地別班員の田代久美子(レイヤマダ)が食堂の店主・ガジモフ(Gurban Ahmadov)に接触すると、約200人分の注文がなくなった一方、トウモロコシと大麦だけは納品が続き、家畜用にしては不自然な塩味だった。別班司令部は5人が今もシャキ城にいると断定する。
約230人の兵士を相手にした場合、乃木が算出した救出成功率はわずか6%。30人まで減った現在なら45%まで上がる。乃木は兵士の移動も野崎が救出の可能性を高めるために講じた策ではないかと考えるが、AIハヤトが算出した成功率は37%。失敗すれば救出に向かった別班員まで拘束され、さらなる機密漏洩を招く。司令部の宇田川(金田明夫)はその確率に賭けることはできないと告げ、櫻井は5人の奪還を断念。さらに3日後の計画を告げる。視聴者からは「毒殺はダメ絶対」と悲鳴が上がった。
乃木は受け入れようとするが、別人格・F(堺/三役)は仲間を見殺しにするのかと問い続ける。「規律…規律…」と自らに言い聞かせる姿に「乃木さんが闇落ちするぞ」と案じる声も。長野利彦(小日向文世)は「そんな教官に教わったような答えをするな!」と退け、乃木が見落としていた「仲間」の存在を示し、櫻井のもとへ送り出す。乃木が頼ったのは義弟・ノコル(二宮和也)だった。「血の繋がりより濃い兄弟の絆に泣いた」と反響が広がり、テントが設立した民間軍事会社「PMSC Y2K」の最強部隊にも注目が集まった。
飯田Pが語る“人を思うからこそ強くなれる”物語
飯田和孝プロデューサーは第17話について、「VIVANTの真骨頂とも言える回だったと思います」と振り返る。「第1シーズンでは、乃木が『生き別れた父の愛』を探す物語と定義していたのですが、第17話で描いたのは『仲間、友への愛』でした。別班は互いを知ることのない存在ではなりながらも、乃木が弟分である黒須を思う場面、長野が熊谷を思うシーン、そしてノコルが兄である乃木を叱咤するシーン、全てが心の奥底にある静かな愛からくる感情であり、『誰かを思うからこそ、人は強くなれること』を表現しています」と語る。
AIを用いた理由については、「人物の感情をより浮き上がらせる効果」にあると説明。「超人的である種機械的な別班とAIの掛け合わせが、非人間っぽさを倍増させるからこそ、人が人に心を寄せるシーンや、感情を押し殺さずに爆発させるシーンが、より人間っぽく感じられる、世界観、枠組みとしてAIがあることで、そこに生きている人間の体温までも感じてもらえるのではと思っています」と述べた。



