中部電力は、浜岡原発(静岡県)の再稼働に向けた審査をめぐるデータ不正問題について、外部の弁護士からなる調査委員会の報告書を受領したと発表した。14日に記者会見で内容を公表する。中部電関係者によると、審査の申請の取り下げも含めて対応を検討しているという。
浜岡原発とは
浜岡原発は中部電がもつ唯一の原発で、御前崎市の太平洋に面して1~5号機がある。1976年3月から順次、運転を始めた。1、2号機は東日本大震災前の2009年1月に運転を終え、廃炉作業が進んでいる。
データ不正問題があったのは、3号機(110万キロワット)と4号機(113.7万キロワット)。それぞれ1987年と93年に運転を開始した。3号機は2010年11月からの定期検査中に震災が起き、4号機は震災による政府の停止要請を受けて、11年5月から止まっている。
中部電は14年に4号機を、15年に3号機の再稼働に向けた審査を原子力規制委員会に申請した。津波対策のために巨大な防波壁を造るなど、24年度末までの安全対策費は2700億円にのぼる。だが、今回のデータ不正問題が発覚した26年1月に審査は「白紙」になった。5号機は政府要請による停止作業中に、原子炉に海水が入るトラブルが起き、再稼働は申請していない。
データ不正問題とは
データ不正問題は、中部電が1月に開いた緊急の記者会見で明るみに出た。浜岡原発3、4号機の再稼働に向けた審査で、想定する最大の地震の揺れ「基準地震動」を不適切な方法で評価していたというものだった。
基準地震動は、原発の耐震設計のもとになる重要なデータだ。中部電は、1~4号機周辺では1200ガル(ガルは揺れの勢いを示す加速度の単位)と結論づけ、規制委が2023年9月に了承していた。
中部電はこの地震動の予測の際、乱数を用いて20組の地震波を計算し、平均値に最も近いものを「代表波」として選んだと説明していた。だが実際には、違う二つの方法で導き出していた。18年以前は、あらかじめ20組の地震波のセットを多数つくり、中部電がそのうち1セットを選んでいた。18年からは、多数の地震波をつくって都合のよい波を代表波に選び、これが平均値に最も近くなるように残り19の地震波を選んでいた。
なぜ不正をしたのか
中部電が3月末に規制委と経済産業省に提出した調査報告書によると、不正の背景には、基準地震動が審査申請時の1200ガルを大幅に超えないようにする意図があった。実際に中部電は審査で1173ガルという計算結果を規制委に示している。
中部電で地震動の策定を担当している原子力土建部からの指示に基づき、委託先がデータを入れ替えていた。ただ、原子力土建部は、施設の耐震設計を担当する部門にも確認しながら不正を行っていたという。7月1日の規制委の中間報告によると、施設の耐震設計を担当する部門などに、施設への影響について「○」「△」「×」で評価させていた。その評価を参考に一つを代表波に選んでいたという。
基準地震動が引き上げられると、追加工事が必要になるケースが多く、審査の不許可につながる可能性もある。これらを避ける狙いがあった可能性がある。ただ、詳しい動機や、誰がどこまで関与したのかは、わかっていない。社内では複数回、不正を問題視する声が上がったが、改められることはなかったという。
発覚とその後の経緯
不正は2025年2月、規制委への情報提供で発覚した。原子力規制庁が聞き取り調査を始めた。ところが、その後も不正を続けていたことが明らかになった。7月1日の規制委の中間報告によると、規制庁が5~10月、中部電に対し、基準地震動を策定する過程について水面下で不正の有無を確認する聞き取り調査をした。中部電は調査が始まった後も不正を続けていたという。



