中東情勢の混乱を受けて、政府がエネルギー安全保障の強化策をまとめた。軍事的な緊張が続くホルムズ海峡を経由せずに原油を安定的に確保するため、中東産油国のパイプライン建設資金を支援するほか、原油調達先の多角化も進める。
原油の9割超を中東に依存
資源小国の日本は、原油の9割超を中東産に依存し、その多くをホルムズ海峡経由で調達してきた。だが、イランによるホルムズ海峡封鎖で、中東産原油の途絶リスクが現実になった以上、調達網の再整備は喫緊の課題である。強化策を早期に実行に移し、ホルムズ海峡経由の原油調達を減らす「脱ホルムズ」を着実に進めなければならない。
日本が原油の中東依存を高めることになったのは、日本まで20日程度で運べることや、価格の安さなど経済性に優れていたからだ。日本の製油所が中東産原油に適した設備構成になっているという事情もあった。日本にとって、中東産原油の重要さは今回の危機を経ても変わることはない。
パイプライン支援と調達先多角化
ホルムズ海峡を安全に通航することが難しくなっていることが問題であり、パイプラインによる迂回ルートの新設・増強を支援することは妥当だ。調達先の多角化を進めることも重要だ。その際には輸送日数の長期化などで調達コストの上昇が見込まれるため、石油元売りなど輸入事業者の相互負担金を原資とした交付金で手当てする制度を新設するという。
今回の危機では、プラスチックや印刷用インキなどさまざまな素材の原料になるナフサの供給が不安定になった。ナフサは揮発性が高く、長期の備蓄には不向きなため、ナフサを国内で精製するための原油を追加の国家備蓄とする。
化石燃料依存の低減も不可欠
ホルムズ海峡の封鎖で世界経済が混乱に陥ったのは、世界が今も化石燃料に大きく依存しているからにほかならない。日本のエネルギー安保を強化するには、化石燃料への依存を減らしていくことも欠かせない。そのために重要になるのが、原子力発電や再生可能エネルギーの活用だ。
強化策にも最大限の原発活用や、地域共生を前提にした再エネの導入促進が盛り込まれた。いずれも脱炭素にもつながる施策である。着実に進めてほしい。



