電気代の高騰が続く中、家計を圧迫する真夏のエアコンよりも、実は年間を通じて大きな負担となる家電がある。東京電力エナジーパートナー社員で「家電王」として知られる中村剛氏は、抜本的な電気代削減には家電以外の対策も必要だと指摘する。本記事では、中村氏へのインタビューをもとに、効果的な節約術を紹介する。
電気代高騰の背景と家電買い替えの目安
資源エネルギー庁の調査によると、家庭用電気料金の平均価格は2010年度の21.39円/kWhから2024年度には32.80円/kWhへと約53%上昇した。中村氏は「燃料費の高騰や再生可能エネルギー賦課金の増加が主な要因」と説明する。一方で、最近の家電は省エネ性能が飛躍的に向上しており、買い替えによって電気代を大幅に削減できる可能性がある。
中村氏は「家電の買い替え時期の目安は、冷蔵庫で10~15年、エアコンで10年程度。古い機種を使い続けると、最新機種に比べて年間数千円から1万円以上の電気代の差が生じる」と語る。特に冷蔵庫は24時間稼働するため、買い替え効果が大きいという。
冷蔵庫の節約術:設定温度と詰め込みすぎに注意
冷蔵庫は年間を通じて家計を最も圧迫する家電の一つだ。中村氏は「冷蔵庫の電気代は、エアコンに次いで大きい。しかし、使い方次第で節約できる」と指摘する。具体的には、設定温度を「強」から「中」に変えるだけで年間約1,000円の節約になる。また、食品を詰め込みすぎると冷気の循環が悪くなり、消費電力が増加するため、7割程度の収納が理想的だ。
さらに、中村氏は「冷蔵庫のドアの開閉時間を短くする、熱いものは冷ましてから入れるといった基本的な習慣も重要」と強調する。これらの工夫を組み合わせれば、年間で数千円の節約が可能だ。
エアコンより先に手を付けるべき場所
夏場のエアコンは電気代の大きな要因だが、中村氏は「エアコンよりも先に、断熱や日射対策を考えるべき」と語る。例えば、窓に遮熱フィルムを貼る、すだれやカーテンを活用する、屋根裏に断熱材を追加するなどの方法で、室温の上昇を抑えればエアコンの使用頻度を減らせる。中村氏は「これらの対策で、エアコンの電気代を最大30%削減できるケースもある」と説明する。
また、エアコン自体の効率的な使い方として、「設定温度は28度を目安に、風量は自動設定にする」ことを推奨。こまめなオンオフより、つけっぱなしの方が省エネになる場合もあるという。
家計を最も圧迫する最大の要因は冬の暖房
意外なことに、中村氏は「年間の電気代で最も負担が大きいのは、夏のエアコンではなく冬の暖房」と断言する。特に電気ヒーターやエアコンの暖房は消費電力が大きく、冬場の電気代は夏場の1.5倍以上になることも珍しくない。中村氏は「冬の節電には、床暖房や蓄熱暖房機のタイマー設定を見直す、こたつや電気カーペットを併用するなどの工夫が効果的」とアドバイスする。
中村氏は「家電の買い替えや使い方の工夫に加え、断熱性能の向上など住宅全体の対策を組み合わせることで、電気代を年間2~3万円削減できる可能性がある」と結論づけている。



