「親に感謝」が人間関係のトラブルを招く?抑圧感情が“圧縮ファイル”に
「親に感謝」が人間関係のトラブルを招く?抑圧感情が圧縮ファイルに

一般社団法人日本聴き方協会代表理事の松橋良紀氏は、著書『誰とでもうまく「話せる人」と「話せない人」の習慣』(明日香出版社)の中で、人間関係でトラブルが絶えない人とそうでない人の違いについて、幼少期の抑圧された感情が「圧縮ファイル」として潜在意識に格納され、後にバグとして噴出するメカニズムを解説している。

「親に感謝」が危険な理由

松橋氏によれば、人間関係でトラブルを抱える人に共通するのは、幼少期に親から受けたしつけや拒絶体験を無理に「良い経験」として処理しようとする傾向だ。特に「両親には感謝しかありません」と口にする人は、親を完璧な存在と見なすことで自己防衛しているケースが多く、この防衛機制が後に人間関係の歪みを生むという。

「どうしようもない。こんな出来事を乗り越えるなんてできないよ」と思いながらも、誰かのサポートで乗り越えた経験は、後に「経験」という武器になる。しかし幼少期の苦しい経験は異なる。松橋氏はカウンセリングの現場で、幼少期のしつけや親の不機嫌な表情によって「自分の望みは叶えてもらえない」「自分は愛されない」という拒絶や喪失を経験した人が、大人になってもその影響に苦しむ事例が多いと指摘する。

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「圧縮ファイル」が引き起こす3つのバグ

松橋氏は、人間関係のトラブルを生む3つの「圧縮ファイル」を挙げている。これらは幼少期に形成された抑圧感情が、潜在意識に圧縮保存された状態だ。1つ目は「親を尊敬するいい人」を演じることで自分を守るパターン。2つ目は「自分は愛されない」という喪失感を無意識に再現するパターン。3つ目は「望みは叶わない」という諦めが人間関係の積極性を奪うパターンだ。

これらの圧縮ファイルは、人生の大事な場面で「予期せぬバグ」として噴出する。例えば、職場で上司から厳しい指摘を受けた際に、幼少期の親からの拒絶体験がフラッシュバックし、過剰に反応してしまう。あるいは、親しい関係で「愛されない」という恐怖から、相手を試すような行動を取ってしまう。

「禁止令」と「目かくし言葉」の影響

松橋氏は、幼少期に課された25個の「禁止令」を見つける重要性を説く。例えば「自分を表現してはいけない」「失敗してはいけない」といった禁止令は、無意識のうちに行動を制限し、人間関係での自然なコミュニケーションを妨げる。さらに、危険な「目かくし言葉」として「普通は」「べき」「ねばならない」などの言葉を挙げ、これらが思考の柔軟性を奪い、対人トラブルを引き起こすと警告する。

自分の心を救う問いかけ

松橋氏は、圧縮ファイルを解凍するためには、自分自身に「その感情は本当に今の状況に適切か?」と問いかけることが有効だと提唱する。幼少期の経験は過去のものとして認識し、現在の人間関係に持ち込まないよう意識することで、トラブルを回避できるという。

「幼少期の苦しい経験のせいで苦しんでいる人はとても多い」と松橋氏は述べ、カウンセリングを通じて多くの人がこのパターンから解放される手助けをしてきた。人間関係で悩む人にとって、自分の内面にある「圧縮ファイル」に気づくことが、改善への第一歩となる。

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