宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、火星衛星探査機「MMX」を10月20日4時41分03秒に打ち上げる。固体ロケットブースタ(SRB-3)4本とロングフェアリングを装備した「24L形態」と呼称する“最強型”H3ロケット10号機を使い、種子島宇宙センター大型ロケット発射場から宇宙へ旅立つ。予備期間は10月21日から11月9日まで。
H3ロケットの特徴
H3ロケット24形態は、日本のロケットとして最も大きく、第1段エンジンLE-9×2基と固体ロケットブースター(SRB-3)×4本の組み合わせで打上げ能力を強化した“最強タイプ”。重量級のペイロードにも対応できるのが最大の特徴だ。初飛行は2025年に実施された「新型宇宙ステーション補給機1号機」(HTV-X1)の打上げで、今回のMMX打上げは2回目となる。
今回の24形態のH3ロケットには、従来にはない新たな特徴が複数ある。同機はH3シリーズ初のロング(L)フェアリング適用機であり、通常のミッションよりもMMXミッションの飛行経路は空力加熱が大きいことから、フェアリングに追加の断熱処置を施したとのこと。
打上げ能力を最大限引き出すため、第1段エンジンのスロットリングは実施しない。このため、第1段燃焼の後半フェーズの加速度が従来ミッションよりも大きくなるが、MMXの耐環境性の範囲内であるという。またロケットで飛行中の通信については、NASAのデータ中継サービスを用いてモニタすることにしており、この機能についてはH3ロケット7号機で既に飛行実証済みとのこと。
MMXミッションの概要
MMX(Martian Moons eXploration)は、JAXAを中心に、米航空宇宙局(NASA)や欧州宇宙機関(ESA)、フランス国立宇宙研究センター(CNES)、ドイツ航空宇宙センター(DLR)といった世界の宇宙機関が連携する国際的なプロジェクト。
MMX探査機は地球を旅立った後、火星の衛星・フォボスをめざし、地表面の物質を採取。2031年度に地球に帰還する計画だ。小惑星から試料を持ち帰った探査機「はやぶさ2」に続く、世界初の「火星圏からのサンプルリターン成功」をめざしており、惑星間往復飛行技術の「火星重力圏」への挑戦にもなる。
MMXによるサンプルリターンを通じて、原始太陽系における有機物・水の移動、天体への供給過程の解明に寄与することをめざす。火星衛星に含まれる含水鉱物・水・有機物などを解析して水や有機物の存在を明らかにするとともに、火星衛星の由来を解明することにしている。