人口約5千人に対し牛が約3万頭いる北海道大樹町でこの夏、全国から高校生20人が集まった。宇宙開発の最先端を学ぶ3泊4日のサマースクールで、最終日には班ごとに未来の宇宙利用サービスの案を発表した。
使われなくなった人工衛星をリサイクルする提案
地元の大樹高校に通う2年の遠地和音さん(17)らは、使われなくなった人工衛星をリサイクルする事業を提案した。「打ち上げが増えるなら、いずれ考えないといけない問題だよね」と話すと、皆がうなずいた。
遠地さんの実家は大阪府吹田市。大樹町が宇宙開発に力を入れていることを知り、親元を離れて地域留学した。親は驚いたが、応援してくれたという。
「宇宙版シリコンバレー」目指す町の構想
町にはもともと、実業家の堀江貴文さんが出資した小型ロケットの発射場があるが、一回り大きい発射場の建設が進む。打ち上げだけでなく、宇宙を行き来する「宇宙港」にする構想だ。
昨春、町で暮らし始めてみると、宇宙は想像以上に近かった。普段から「次、いつ打つんだろう?」と話題が出る。大阪では見えにくかった星もよく見える。小中学生のロケット教室にも指導役で呼ばれる。「宇宙のまちならでは。来てよかった」と話す。
世界的な宇宙開発ブームが追い風に
大樹町は、宇宙港を起爆剤に産業の誘致を狙う。黒川豊町長は「もうすぐロケットがどんどん上がる。北海道全部が元気になる『宇宙版シリコンバレー』を目指したい」と話す。
いま、国内外で宇宙港の建設が相次ぐ。当初は過疎化にあらがう町おこしの意味が強かったが、世界的な宇宙開発ブームが追い風になっている。北海道東部にある一農村だった町の挑戦は続く。