国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産を目指す国内候補に「彦根城」(彦根市)が文化庁の文化審議会で選ばれた3日、悲願としてきた世界遺産登録への第一関門の突破に地元は喜びにあふれた。
地元一丸の取り組みが奏功
彦根城の世界遺産入りを目指す取り組みが始まったのは日本が世界遺産条約を締結した1992年。2019年度に推薦書案を提出した後、4度にわたって見送られてきた。
この日夕に行われた彦根市役所での臨時記者会見で、田島一成市長は吉報を受けて書いた「彦根城国内推薦内定」という直筆の額を披露。市の人気キャラクター「ひこにゃん」は、胸の鈴を大きく鳴らして喜びを表した。
政治的アプローチも着手
昨年の推薦見送りを受け、田島市長は「できることは最大限働きかけをしよう」と政治的アプローチにも着手した。超党派の国会議員でつくる「彦根城世界遺産登録推進議員連盟」のメンバーは7月に彦根城を視察し、文化庁に要望書を提出。市議会や県議会でも議連を設立し、地元一丸で後押しする体制を整えてきた。
田島市長は「彦根城を、市民の皆様とともに、『世界の宝』として未来へつないでいく」と世界遺産登録に向けて意気込んだ。
「ここからがスタート」関係者は喜び
長年、世界遺産登録を目指してかかわってきた人たちは、待ちわびた知らせを歓迎した。県庁で記者会見した三日月知事は「感無量。長年、努力を積み重ねた多くの方の力があって、大きな障壁を乗り越えることができた」と感慨深そうに述べた。「この先、保全や継承の取り組みも含め相当の覚悟が問われる。武者震いするような思い」とかみしめた。
彦根城世界遺産登録意見交換・応援1000人委員会の宮川富子会長は田島市長と手を取り合い喜んだ。「彦根城は、たくさんの人が生活している息づかいが感じられる場所でもある。今まではウォーミングアップ。ここからがスタートだ」と決意を新たにした。
彦根ユネスコ協会の薩摩四郎会長は「今までの成果が出た。うれしくて、うれしくて……」と声をはずませた。彦根城は徳川幕府約250年の平和の礎を築いた「大名統治システム」の象徴としてアピールを続けてきた。「世界各国で戦争が起きている。(登録されれば)外国人観光客も増え、交流が生まれて平和にもつながる」と期待した。
彦根城は全国で12ある「現存天守」の一つ。約20年かけて、譜代大名筆頭・井伊直孝が彦根藩主の頃に完成したとされる。1956年に特別史跡に指定。江戸初期に建てられた天守(国宝)や、藩主と家臣が和歌や茶の湯をたしなむ大名庭園・玄宮園、家臣の屋敷跡などが現存する。



