ニセコ町の知られざる歴史を、高円宮妃久子さまの高祖父・曾我祐準が開いた「曾我農場」の歩みを通してひもといた「ニセコ誕生物語」(中央公論新社)が6月に発売され、道内で反響を呼んでいる。
書籍の内容と反響
本書は、読売新聞北海道版で昨年6~12月、3部に分けて連載した「曽我農場物語」を大幅に加筆し、久子さまの特別インタビューや識者の寄稿を収録した。物語は、久子さまが祐準の肖像画捜しに乗り出し、ニセコ町に存在していることを突き止められた場面から始まる。見つかったのは、祐準が開いた曾我農場内に建立された曽我神社。今も町内で農業を営む曾我農場の小作人の子孫たちが、大切に守っていた。
曽我神社の宮司も務めるニセコ狩太神社(ニセコ町)の玉置彰彦宮司(50)は「ニセコの開拓に大きく貢献した祐準を生い立ちも含め、多角的に紹介され非常に興味深い」とした上で、「町民に知られていないことも多い。開拓に携わった先人たちへの尊敬の念を育むきっかけになるのではないか」と期待する。
皇室との関わり
田中健人町長(34)は「祐準の『公平・公正』の精神は、現代の行政や地域社会を担う私たちにとっても胸を打つものだ」と高く評価。また「祐準が高円宮妃久子殿下の高祖父にあたられるという事実から、皇室と当町との関係性と歴史の深さに感慨を覚えた」とコメントした。町民学習交流センター「あそぶっく」に配置し、多くの町民に読んでもらえるようにする考えだ。
町に明るい話題
ニセコ町には有島記念館があり、文豪・有島武郎が小作人に無償解放した有島農場がよく知られている。本書は圧倒的に規模が大きかった曾我農場の経営についても詳述している。曾我農場の歴史に詳しい道文化財保護協会理事の山田雅也さん(63)は「あまり注目されてこなかった曾我農場に光を当てた意義は極めて大きい。ニセコが国際スキーリゾートとして世界に羽ばたく中、先人の努力や皇室とのつながりなどが明らかになり、ニセコに明るいストーリーがさらに加わった」と喜ぶ。
「ニセコ誕生物語」は四六判ハードカバー、208ページ。税込み1980円。最寄りの書店等で購入、取り寄せができる。



