福島県立博物館で開催中の「大恐竜展」で、世界最古の頭突き恐竜「ザヴァケファレ」の化石が世界初公開されている。モンゴルでこの化石を発見した同館学芸員の吉田純輝さん(34)に、展覧会の見どころを聞いた。
世界初公開のザヴァケファレ化石
ザヴァケファレは、吉田さんたちの発掘チームが2019年、モンゴル・ゴビ砂漠にある1億年以上前の地層で発見した。頭の骨が頑丈で「頭突き恐竜」と呼ばれるパキケファロサウルス類の新種だった。
ヘルメットのような頭部から胴体、尻尾まで全身の骨格が展示され、体長は1メートルほど。子どものものらしく、思っていたより小さくてかわいいものでした。それでも、歯はぎっしり詰まっていて、ザヴァケファレの生命力を感じました。
化石をもとに再現した全身レプリカ(複製)は、今にも頭突きしそうな動きのあるポーズで迫力がありました。頭の骨のレプリカを触ることができる展示もあり、きれいなドーム状でびっくりしました。
頭突きの行動と研究の面白さ
大型肉食恐竜の全身骨格レプリカも展示され、その迫力に圧倒される。しかし、本当に頭突きをしていたのでしょうか。吉田さんは「実際に頭突きをしているところを誰も見ていないので、推測ではあります」と話します。一方で、CT(コンピューター断層撮影)で頭部を調べると骨密度が高く、頭突きに耐えられる構造だったそうです。
では、なぜ頭突きをしたのでしょうか。吉田さんによると、メスをめぐる戦いや縄張り争いのため、という説が有力だそうです。化石を調べることで、絶滅した恐竜の行動まで推測できることに、研究の面白さを感じました。
展示の背景と貴重な喉の化石
遠く離れたモンゴルの化石が、福島で世界初公開された背景には、吉田さんの熱い思いがありました。化石の持ち主はモンゴルの研究機関ですが、発掘した吉田さんが「貴重な化石を多くの人に見てもらいたい」と思い、貸してほしいとお願いしました。その熱意が通じ、県立博物館の開館40周年特別展の目玉として展示できるようになったのです。
大恐竜展には、もう一つ大きな見どころがあります。ピナコサウルスの「喉の化石」です。喉の骨は軟骨という軟らかい骨で、化石になる過程で失われてしまうことが多いため、非常に貴重なのだそうです。喉の骨は、今まで想像にすぎなかった「恐竜の鳴き声」が、実際はどのようなものだったかを解き明かす手掛かりになるかもしれないと聞き、わくわくしました。
恐竜の魅力と今後の謎
砂漠という過酷な環境で発掘を続ける吉田さんのモチベーションにも驚きました。恐竜の魅力は「今はいない動物だから。現代の生物と大きさや形が格段に違うところや、どのような生態だったか分からないところにひかれます」と話してくれました。
恐竜は約6600万年前に絶滅してしまいましたが、その一部が進化して現在の鳥類につながっているというお話も聞き、驚きました。身近にいる鳥も、恐竜とつながっていると考えると、今までよりも恐竜が身近な存在に感じられました。
もうほとんど解明されたと思っていた恐竜。でも今回の取材で、まだたくさんの謎があることを知りました。これから解明されていくのが楽しみです。
大恐竜展は23日まで。会場の福島県立博物館は会津若松市にあります。詳しくは公式ホームページを確認してください。



