時代祭・室町洛中風俗列が20年目、伝統継承へ稽古に励む
時代祭・室町洛中風俗列20年目、稽古に励む

時代祭が行われる22日、平安から明治維新までの装束に身を包んだ市民ら約2000人が都大路を彩る。その中で最も新しい行列「室町洛中風俗列」は、今年で20年目を迎える。歴史絵巻を次代につなぐため、技術の継承や担い手確保に奔走する人々の姿を追った。

室町洛中風俗列の練習風景

3日夜、京都市伏見区の藤森神社で「室町洛中風俗列」の練習が行われた。歌い手の威勢のいい節回しに合わせ、笛や鉦、太鼓の音が響き、竹製の楽器「ササラ」を持った踊り手たちがくるりと回転する。練習は約1時間続いた。

深草室町風俗列保存会の前田哲男会長(60)は「祭りの中で一番華やかな行列。見た人に『よかった』と言ってもらえるようなものにしよう」と呼びかけ、メンバーの気を引き締めた。

新設までの経緯と保存会の結成

室町洛中風俗列は、室町時代に京の町衆によって盛んに催された「風流踊り」を再現したもので、江戸時代以降の盆踊りの原型になったと伝わる。平安から明治維新までの様子を再現する時代祭では、室町幕府を開いた足利尊氏を朝敵とする見方があったことなどから、室町時代は長らく除かれていた。

時代考証を担う専門家から「当時の武士や町衆の姿を示す必要がある」という意見が上がり、祭り開始から110年を迎えた2005年に新設に向け動き出した。「引き受け手がいない。何とかしてくれないか」。時代祭を運営する市民組織・平安講社の副理事長(当時)が藤森神社の氏子総代を務めていた縁から、神社の太鼓保存会会長だった前田さんに声がかかった。

通常の行列は持ち回りで担当地域が変わるが、歌や踊りを伴う風俗列は継続的な練習が欠かせない。毎年関われるようにするため、前田さんを会長とする保存会が2007年に結成された。

継承への思いと次代への託し

狂言師が踊りを、音楽の専門家が曲をそれぞれ監修。同年夏頃から練習が始まったが、歌や踊りを新たに習得するという試みは、戸惑いの連続だった。曲と踊りの息を合わせることに苦心したほか、楽譜を一から作ったり、動きやすい動作を工夫したりしながら手探りで練習を重ねた。保存会で太鼓指導などにあたる戸田朝夫副会長(60)は「所作やリズムなど、演奏の質は年々上がってきている」とほほえむ。

保存会のメンバーは約70人。70歳代から未就学児まで老若男女で構成され、親子での参加も珍しくない。京都市立藤森中3年矢野瑛一朗君(15)は、歌い手だった父・政幸さん(47)に連れられ、5歳の頃から参加している。主に最年少が務め、曲に合わせて跳ねて鼓を打つ「鞨鼓」や太鼓の打ち手を経て、今年初めて太鼓の持ち手を担う。責任感が芽生え、最近は幼い子の動きや行列の状況にも目配りできるようになったという。

「祭りをよりよいものにするため、これからも携わり続けたい」と言い切る瑛一朗君。政幸さんは「京都三大祭の一つ、京都市民の祭りに毎年参加できるのは誇り」と胸を張る。時代祭に風俗列が加わって20年目。「一番新しい行列として、継続することが新たな伝統につながっていく。次代に託すためにも、ここでやめるわけにはいかない」。そう力強く語る前田さんを先頭に、今年も室町文化を今に伝える。