北陸新幹線の延伸計画を巡り、与党整備委員会は7月、「小浜・京都ルート」で、新駅をJR桂川駅(京都市南区)近くに設置する「桂川案」の採用を決めた。再検討を受け、新たなルートの可能性に期待し誘致に向けた活動を展開した京都府内の自治体は複雑な思いで結果を受け止めている。
誘致活動を展開した自治体の反応
同計画は2016年に京都駅経由を念頭に置いた「小浜・京都」ルートに決まっていたが、25年に自民党と連立を組んだ日本維新の会から、費用対効果などの観点で再検討を求める声が上がり、滋賀県米原市を通る米原ルートも含めた複数案の再検討がなされてきた。
1973年度から京都府内の丹波エリアを通るルート誘致と新幹線駅の設置について、歴代市長が要望活動を行ってきた亀岡市は、今年に入って改めて誘致を表明した。近隣の南丹市や京丹波町と連携し、府に要望書を提出したり、約900人規模の決起集会を開いたりしてきた。
桂川孝裕・亀岡市長は、6月の読売新聞の取材に、「新幹線の新駅が出来ることで交通の結節点として新たな可能性が生まれる」と期待。京都市内のオーバーツーリズムの問題を挙げ、「すでに過密している京都市内に新駅を作って人口を集中させるような議論はナンセンスではないか」と指摘し、亀岡への新駅設置のメリットを強調していた。
「桂川案」採用を受け、詳細なプロセスが明かされないままの状態に危惧を示しつつ、「決まったからには早く大阪まで通してほしいというのが我々の一つの思い。経過を注視しながら見守っていきたい」と話した。
南丹市長「完全に踊らされた」
西村好高・南丹市長は7月の定例記者会見で「亀岡に駅が出来たら未来がすごく開けるなと思っていた。完全に踊らされた、という印象だ」とする。決定時に説明を受けていないとし、南丹市内の地下を通ることになれば残土や負担金の問題もあると懸念を示した。
舞鶴市は、日本海側の安全保障の拠点強化や物流の拠点形成などにつながるとして「舞鶴ルート」を主張。今年2月に市民サポーターを募集すると、約1000人が応じ、4月には「北陸新幹線 舞鶴誘致促進会議」を設立した。府への要望活動を行うほか、市内にも横断幕などを掲げて機運の醸成を図ってきた。
鴨田秋津・舞鶴市長は、「最初から最後まで不透明だった」と苦言を呈す。私見として「今年の2月の解散総選挙で状況が変わったんじゃないか」としながらも、「議論が振り出しに戻ったと思っている。桂川が厳しいとなった時には舞鶴はもろ手を挙げて受けますよ、というスタンスをとっていこうと思っている」と話した。
車両基地を巡る久御山町の懸念
北陸新幹線の延伸計画で、京都府久御山町内で予定されている車両基地の建設が町の治水に重大な影響を及ぼすとして、町議会は府に対し、延伸に安易に同意しないよう求める意見書を全会一致で可決した。
与党は7月、「小浜・京都ルート」のうち、京都市のJR桂川駅近くに新駅を設ける案を決定。国は同案などを示した2024年以降、宇治市に隣接する久御山町内の旧巨椋池干拓地約30万平方メートルで盛り土をし、車両基地を造る計画を公表していた。
1日に可決した意見書で町議会は、干拓地一帯が遊水機能を持つ低地で、大規模な盛り土によって排水機能が低下し、水害リスクが高まると指摘。新幹線が地上を走行する区間でも、立ち退きや騒音が懸念されるとして、「町、住民との間で完全な合意が成立しない限り、延伸事業の着工を認めないこと」を府に求めた。
信貴康孝町長は読売新聞の取材に「そもそもなぜあそこに車両基地を造るのか、想定される課題にどう対応するのかを住民に説明するよう、国などに求めていく」と話した。



