JR芸備線、三次~広島間の増発へ行き違い設備2カ所増設案 上下分離の道筋も
JR芸備線、行き違い設備2カ所増設案 上下分離の道筋も

JR芸備線の三次~広島間について、JR西日本が列車の運行頻度を増やすための機能強化策を提案した。全線単線のため、行き違い設備を2カ所増設することで増発を可能にする案だ。沿線自治体は国の支援を受けられる鉄道事業再構築事業への移行をめざしており、上下分離やみなし上下分離の道筋も見えてきた。

利用者増加、通勤通学需要の取り込みへ

2024年度の統計では、下深川~広島間の平均通過人員は8,829人/日で、2023年度の8,676人/日から増加している。国鉄時代の地方交通線で転換基準のひとつとされた4,000人/日の2倍以上だ。

三次市、安芸高田市、広島市の沿線自治体は、2024年に「三次・安芸高田・広島まちづくり交通協議会」を設立。JR西日本や国土交通省中国運輸局を交え、芸備線の機能強化を検討してきた。協議会はほぼ半年に1回の頻度で開催され、第6回(2026年8月21日)までに課題の抽出や利用状況、住民アンケートなどの調査結果をまとめた。

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機能強化の方向性として、「朝夕の通勤時間帯のダイヤ改善」「自然災害の遅延や運休を減らす」「全駅でICOCA導入」「新型車両の導入」「駅のバリアフリー化」などが定まった。あわせて鉄道とバスやタクシーの乗り継ぎ、マイカーの送迎がしやすい環境も必要とされている。

行き違い設備の増設で増発を検討

JR西日本は「沿線のまちづくりを踏まえた芸備線(三次~広島間)の機能強化策」を提案。三次~広島間は68.8km、21駅中11駅に行き違い設備がある。狩留家~下深川間で1カ所、安芸矢口~矢賀間で1カ所、合計2カ所の増設が必要とされ、A案とB案が示された。

単線路線では、行き違い設備を増やすことで増発が可能になる。兵庫県の北条鉄道は2020年に法華口駅へ行き違い設備を新設し、2本の列車を同時に運行できるようになった。茨城県のひたちなか海浜鉄道も2010年に金上駅へ新設し、通学時間帯の運行間隔を約40分から約20分に短縮、通学客が増えた。

現行の平日ダイヤでは、朝の上りは広島駅6時58分発の次が7時58分発で、1時間の間隔が開いている。下りは8時台まで快速がなく、6~7時台の普通列車は三次駅から広島駅まで2時間近くかかる。

A案は朝の増発重視、B案は等間隔ダイヤ

JR西日本のA案は朝の増発重視とみられ、下深川発広島行と広島発狩留家行の普通列車を増発。中深川駅と戸板駅で列車の行き違いを設定する。B案は増発が少ない一方、運行間隔をできる限りそろえ、等間隔でわかりやすいダイヤをめざしている。

ダイヤを作成してみると、玖村駅と上深川駅にも行き違い設備があれば、列車の待ち合わせによる停車時間を短縮できそうだという。まずは2カ所の整備効果を検証し、結果を踏まえて追加整備を検討する道筋も見えている。

上下分離で財政負担、自治体の恩恵が上回る

今後は国の支援を受けられる鉄道事業再構築事業への移行をめざす。来年度以降に協議会を法定協議会へ移行し、事業規模の確定、費用対効果、実施の枠組みを整理して地域交通計画を決定。国土交通大臣の認定を受けると、社会資本整備総合交付金などの補助を受けられる。

鉄道事業再構築事業では上下分離などの事業構造変更が行われる場合もある。JR西日本や第三セクターが運行を担い、線路設備は自治体または第三セクターが保有する形だ。自治体にとっては新たな財政負担が生じるが、芸備線がある場合とない場合の多面的な効果を分析したところ、現在も芸備線によるクロスセクター効果がJR西日本の鉄道事業損失額を上回っていることがわかった。

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一方、備中神代~備後庄原間の再構築協議会対象区間については結論が出ていない。沿線自治体の庄原市や新見市にとって、三次~広島間で事業構造が変わる影響は小さくないとみられる。