アルミホイルはなぜスイスで生まれた? 実験室でも万能な理由とノーベル賞との関係
アルミホイルはなぜスイスで生まれた? 実験室でも万能な理由

ノーベル賞週間を迎え、実験や観測の重要性が話題となる中、実験室で欠かせない存在となっているのがアルミホイルだ。安価で入手しやすく、軽量で自在に折り曲げられる上、電気や熱をよく通し、光や電波、匂いを遮断するという多機能ぶりを発揮する。

アルミホイルが実験室で重宝される理由

アルミホイルは、ビーカーのふたにすると外部からの物質を遮断し、酸にも強い。かつて手作りのプラネタリウムドームを作った際、光漏れを防ぐためにアルミホイルを使ったところ、黒いシートや分厚い段ボールよりも完璧に遮光できたという。

食品包装でもその効果は発揮され、ポテトチップスの袋やカレー粉の缶、チョコレートの包装に使われる。匂いを遮断し、外部からの物質を防ぐことで変質を防ぐのだ。

スイスで生まれた理由は水力発電

アルミホイルが発明されたのは20世紀初頭のスイス。その背景には、スイスが水車の利用が盛んな山岳国家であり、19世紀後半には水力発電が本格化したことがある。大量の電力が得られるようになり、アルミの精錬に欠かせない電気が安定的に供給されるようになった。

アルミの精錬には、1886年に発明された「ホール・エルー法」が使われる。これは氷晶石を1000度で溶かした中にアルミナを入れ、電気を通すと純粋なアルミが分離する方法で、現在も主流となっている。この方法には大量の電気が必要だが、スイスでは水力発電が盛んであり、アルミ生産工場が立地していった。

アルミホイルを広めたチョコレート包装

アルミホイルは1910年、スイスのJ.G. Neher&Sons(ネーア社)が最初に製造した。これに着目したのが、1908年創業のスイスのチョコレートメーカー、トブラローネ社だ。三角柱のような形のチョコで知られる同社は、スズ箔ではなくアルミホイルを使うことでチョコの鮮度が保たれることに注目した。

その後、アルミホイルの効能は食品包装から軍事、医薬など多方面に広がり、家庭用アルミホイルも発売されるようになった。科学者も実験に使うようになり、現在もその用途は広がり続けている。

噛むと「ビリッ」とするのはなぜ?

アルミホイルを噛んだときの「ビリッと苦い」感覚は、アルミホイル自体が苦いのではなく、口の中で電池ができるためだ。歯の金属(銀歯など)とアルミの間に唾液が入ると微弱な電流が流れ、神経を刺激する。アルミホイルが電気をよく通すことによる現象だ。

この特性を利用し、アルミ空気電池なども実用化されている。また、備長炭にティッシュを巻きアルカリの液を湿らせ、アルミホイルで巻くとLEDを光らせるくらいの電力が発生するため、科学実験教室でも楽しいネタになる。さらに、アルミホイルをハサミで切ると切れ味がよくなるという小ネタもある。

アルミニウムは地球の表面付近で酸素、ケイ素の次に多い元素で、泥の中にも豊富に存在する。それをホイルにすることで革命を起こしたと言える発明であり、ノーベル賞に値するかもしれないが、発明者はすでに生存していないため受賞はかなわない。