高市首相は5日午後、衆院本会議で所信表明演説を行い、看板政策である「責任ある積極財政」を推進し、最優先課題として経済政策に取り組む姿勢を示した。同時に財政の持続可能性を確保し、市場の信頼を高める姿勢も強調した。
経済最優先と財政規律の両立
首相は、現在の日本経済について「『成長の好循環』の道に踏み出せるかどうかの分岐点に立っている」と指摘。責任ある積極財政を進める上で、財政の持続可能性は「当然の前提だ」と表現し、「通年の国債発行額を適切にコントロールしていく」と表明した。財政悪化を懸念する声を意識し、国民や国内外の市場関係者に丁寧に政策を説明し、「正攻法で市場の信頼を高めていく」と主張した。
消費税減税法案への理解を求める
臨時国会で最大の焦点となる食料品の消費税減税関連法案に関しては「切れ目のない物価高対策」の一つと位置づけ、「家計に少しでもゆとりを生み出したい」と理解を求めた。野党が消費税減税を主張してきたことにも触れ、賛同を呼びかけた。財源については「市場の信認を得られるよう、特例公債(赤字国債)に頼らずに確保する。心配には及ばない」と述べた。
外交・安全保障での姿勢
自身が掲げる「危機管理投資」では、中東情勢の緊迫化を踏まえ、原油などの特定経路への依存を減らし、調達先の多角化とリスク低減を徹底するための制度を整備すると打ち出した。
日中関係が冷え込む中、中国を「重要な隣国」と呼び、「戦略的互恵関係を包括的に推進する」と語った。日本周辺での軍事活動や威圧的措置、邦人の安全、人権上の懸念を列挙し、「主張すべきことは主張し、責任ある行動を強く求めていく」と言及した。「国益を守るための対話を進め、建設的かつ安定的な関係を構築していく」とも訴えた。
米国のトランプ政権が圧力を強める国際刑事裁判所(ICC)を巡っては、日本がICCを含む国際裁判所を一貫して支持してきたとし、「法の支配に基づく国際秩序を維持・強化していく」と約束した。
憲法改正と国会運営への期待
憲法改正では、先の国会での改正国民投票法の成立を歓迎し、党派を超えた活発な議論に期待を示した。衆院議員の定数削減でも「今国会での実現に向け、議論を期待する」と踏み込んだ。
演説は首相の政策へのこだわりが随所にちりばめられ、政策遂行への強い意欲がにじみでるものとなった。演説で掲げた理念をいかに実行するか、国会運営や外交舞台での緻密な戦略が重要となる。