北中米3か国で熱戦が繰り広げられてきたサッカーワールドカップ(W杯)は、スペインが2度目の優勝を果たし閉幕した。出場国が48に増え、質の低下を懸念する声もあったが、強豪国と堂々と渡り合ったカボベルデなどの健闘に、そんな声も薄れたように思う。
カボベルデの組織的サッカーが印象的
1990年大会以降、カメルーンやナイジェリア、セネガルなどが次々と躍進した頃のアフリカ勢は、抜群の身体能力を武器に、何が飛び出すかわからない奔放さが魅力だったが、今回のカボベルデは洗練された組織的なプレーを見せた。現代では南米やアフリカの有望な若手選手は早くから欧州に渡ることが多い。特にカボベルデは、海外生まれの移民出身者が数多く代表に加わっているという。かつては欧州と南米にもサッカーのスタイルの違いがあると言われていたが、今ではその差はかなり小さくなった気がする。
サポーターが「民間大使」に
一方、大会の周辺では国ごとの違いを印象づける事象に事欠かない。最も目立つのがサポーターだ。今大会ではX(旧ツイッター)で、米国各地を訪れたサポーターたちの様子をよく目にした。例えば応援パフォーマンス「バイキング・ロー」をしながら駅のエスカレーターを上がるノルウェーのサポーター。大リーグのスタジアムでチャント(応援歌)を大合唱するスコットランドのサポーター。それらを地元民が好意的に紹介している。
日本のサポーターも、3試合を戦ったテキサス州で歓迎されたようだ。地元メディアの取材に答えて「テキサスは素晴らしい!全てが大きい!」と叫んだり、巨大ステーキにかぶりついたりする姿に、米国人たちが大喜びしていた。
日本の「ゴミ拾い」がW杯の風物詩に
筆者は、週刊誌の記者だった1998年、日本が初出場したフランス大会を現地で観戦した。当時のフランスの専門紙やテレビは、日本の代表チームよりもサポーターに興味を持ったようだった。大会の大スキャンダルとなった空売り騒動に巻き込まれ、チケットを求めて街に立つ姿や、青いゴミ袋を膨らませて応援し、試合後に紙吹雪を自ら拾い集める姿は、現地のテレビでよく紹介されていた。この「ゴミ拾い」、今ではW杯の風物詩になったようで、今大会では日本を見ならう各国の様子も報じられた。W杯のサポーターは、開催地や世界各国に強く自国の印象を与える“民間大使”でもある。



