アジアパラ2冠狙う唐沢剣也選手、金メダルへの思い語る
アジアパラ2冠狙う唐沢選手、金メダルへの思い語る

渋川市出身の唐沢剣也選手(32)(SUBARU)が、18日に開幕する愛知・名古屋アジアパラ競技大会(読売新聞社協賛)に出場する。パラリンピックの東京、パリ両大会の陸上男子5000メートル(視覚障害T11)で銀メダルを獲得したアスリートが、障害者スポーツへの思いや夢を語った。

「目標は高く、腰は低く」

唐沢選手は、小学4年生で失明するまでサッカーやドッジボール、テニスなど様々なスポーツを楽しんでいた。県立盲学校に転校し、障害者スポーツと出会い、「走ることを諦めていたが、(ガイドランナーが)一緒に隣で走ってくれれば、もう一度走れると知り、風を切って走る爽快感や走って汗をかく楽しさをまた感じることができるようになった」と振り返る。

本格的に陸上を始めたのは2016年に盲学校を卒業してから。リオデジャネイロ・パラリンピックで和田伸也選手が陸上の3種目で入賞したのを知り、「自分と同じように目が不自由でも世界の舞台で活躍している姿を格好いいと思い、自分も同じように活躍したいという気持ちになった」という。

練習では前橋市の運動場を拠点に、前橋駅周辺や渋川の競技場を使い、夏には標高の高い榛名や赤城でも走った。第一線で活躍し続けるために心がけているのは「目標を高く持つことと、応援してもらえるような選手になるために努力すること」。好きな言葉は「目標は高く、腰は低く。謙虚であれということ」と語る。

支援への感謝と未来への夢

群馬県のパラスポーツ支援については、「群馬県はパラスポーツの支援に早く取り組んでくれた県だと思っている。私のように企業に所属してスポーツができる人ばかりではないので、そのような支援があることで、指導者に謝金を支払えたり、遠征の交通費や宿泊費に充てられたりできる」と感謝する。一方で、「障害者スポーツはまだまだ認知度が低いと思うので、群馬の方々にも全スポが満員になるぐらいに魅力を発信できたらと思う」と話す。

夢は「パラリンピックで金メダルを取ること」。金メダルを取って県内各地の小中学校で子どもたちに夢や目標を持つこと、努力することの大切さを伝えたいとし、「私が活躍することで障害者スポーツの認知度を上げることにも貢献したい」と語る。

アジアパラ競技大会には5000メートルと1500メートルに出場予定で、「ロサンゼルスに向けての通過点として、確実に金メダルが取れるように練習している」と意気込む。1500メートルはパラリンピックで2大会とも4位に終わっており、「1500メートルでもメダルを取りたい。今年はいろいろなことを試せる1年なので、1500メートルの練習を増やし、それを5000メートルにつなげる新しい取り組みをしている」と話す。

昨年4月にSUBARUに入った前橋育英高出身の堀越翔人さん(24)がガイドランナーに加わった。唐沢選手は「長い距離が得意なので、いろいろな練習に対応できるし、安定感もある。器用なので、私が走るリズムにしっかり合わせてくれるので、とても走りやすい」と信頼を寄せる。ロサンゼルスに向けては「5000メートルは後半勝負になると思う。パリ大会では置いていかれたので、しっかり食らいつけるようなスピードと粘り切る精神力をもう一段高めたい」と語った。

堀越さんは「僕は初めてパラスポーツに足を踏み入れ、わからないことだらけだったが、唐沢選手が一から丁寧に教えてくれた。(2人で)いろいろなレース展開で勝ちきれるような対応力を磨いていきたい」と話し、「個人的には調子の波を小さくし、常に高いパフォーマンスを維持できる唐沢選手を安定してガイドできるような、余裕を持って走れるランナーになりたい」と目標を掲げる。

唐沢選手は、盲学校の先輩である鍼灸マッサージ院の院長との出会いが転機だった。院長が通院する陸上の関係者に声をかけ、支援者が増えて「からけん会」というチームができた。順天堂大学で箱根駅伝に出場した堀越さんも、「努力を継続できる力が唐沢選手の一番の強み。人としてすごく尊敬できる」とほれ込んでいる。