三重県カスハラ条例が可決、全国初の罰則付き 知事「離職・休業減るよう」
三重県カスハラ条例可決、全国初の罰則付き 知事が期待

三重県議会は16日、県のカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例を可決した。昨年、2期目の当選を果たした一見勝之知事の公約の一つで、来年4月の施行に向け、労働者を守るための政策が実現に向かうことになった。議論の過程では、「罰則規定」の導入にあたり、正当な権利の萎縮を懸念する慎重論も出た。

知事が期待を表明、県内調査では14.2%がカスハラ経験

一見知事は可決後、「離職や長期休業の人が少しでも減るよう、この動きが広がれば」と期待を語った。

県によると、県内914事業者から有効回答を得た昨年3~4月の調査では、14.2%の割合でカスハラが発生したことが判明。連合三重などの労働団体も実効性のある条例の制定を求めてきた。

全国初の罰則付き、録音・録画機器の購入費補助も

カスハラの防止条例は東京都や北海道、群馬県などで既に制定されているが、いずれも罰則規定はない。これに対し、三重県は実効性を担保する狙いから、同条例としては全国初の「罰則付き」に踏み切った。

悪質なカスハラの認定にあたっては録音や録画をはじめとした証拠が重要となるため、県議会は、県内の小規模事業者を対象に、録音・録画機器の購入などにかかる費用の2分の1(上限20万円)を補助するための補正予算案も可決している。

慎重論も、知事は「正当なクレームを妨げるものではない」と強調

一方、罰則の導入には慎重な検討を求める意見も聞かれた。愛知、岐阜、三重の3県の弁護士でつくる「東海労働弁護団」は3月、カスハラ対策の強化は支持するとしつつ、「県民の正当な意見表明までが萎縮する恐れがある」との声明を発表。一見知事は16日、「顧客の正当な要望や権利行使が不当に妨げられないように留意する規定も設けている。正当なクレームや要望を妨げるものではない」と強調した。

条例の円滑な運用には県人口の約4%を占める外国人への周知も課題となる。一見知事は今月の定例記者会見で「外国人は意図しない行為でカスハラを起こしてしまうこともあると思う」と述べ、セミナー開催やチラシ配布を検討する。

経営者向けセミナーを津で来月17日に開催

三重県は11月17日、県内企業の経営者らを対象としたカスハラ防止対策セミナーを津市の県総合文化センターで開催する。全ての企業にカスハラ対策を義務づけた今月1日施行の改正労働施策総合推進法を踏まえ、事業者に求められる防止措置などを講師が解説する。

企業のマネジメントコンサルティングや研修などを手がける「ナレッジリーン」(東京)に委託。航空会社で14年間の勤務経験があり、カスハラ対応に精通した同社の講師が、現場での未然防止や事後対応について伝える。

セミナー終了後、希望する事業者は個別相談を受けられる。参加無料。定員60人(会場参加30人、オンライン参加30人)で先着順。11月10日までに同社のホームページなどから申し込む。問い合わせは同社(0120・438・028)へ。