アジア大会スケボー銀・織田夢海、逆転狙えず「すごく悔しかった」
アジア大会スケボー銀・織田夢海、逆転狙えず「すごく悔しかった」

愛知・名古屋アジア競技大会は27日、スケートボード女子ストリートが行われ、地元・名古屋市出身の19歳、織田夢海が銀メダルを獲得した。日本選手権を3連覇中の実力者がこの大会で感じたのは、ライバルとの競り合いの中で「金」を狙いにいけなかった悔しさだった。

世界最高難度を決めてトップに立つも

「トリックの残り2本を見ているときは、すごく悔しかった」

銀メダルを獲得した織田は試合後、こんなことを語った。「負けが確定した試合」を戦うこと以上に苦しいことはないだろう。

スケートボード・ストリートは45秒間でコースを自由に滑る「ラン」と一発技を競う「トリック」をそれぞれ3回ずつ滑る。ランとトリックの最高得点を合算した点数が持ち点となり、それを競う種目。この日、織田はランの1回目と2回目をそれぞれ失敗。「1回目と2回目はミスが続いて、緊張した」(織田)という3回目は、技の難易度を抑えて、71・21点でまとめた。この時点で、トップの中国人選手とは8・58点の差があった。

得点が伸びない技をチョイス

迎えたトリックの1回目。織田は、代名詞「キックフリップ・フロントサイド・フィーブルグラインド」(板を裏表に1回転させ、板の先端をななめに突き出しながら後輪車軸で滑るトリック)をクリーンに決めた。「世界最高難度」とされるこのトリックを完璧に決め、「練習で1回決めることができていた。練習通りにやったらうまく決まって、そこはよかった」。この時点で、織田は161・96点をマークし、トップに立った。だが、実はこの時点で織田にとっての試合は終わっていた。

ラン終了時にトップにいた中国人選手が、織田の2回目のトリックの前に86・84点を出し、再びトップに立っていた。それにも関わらず、織田は短いレールを使った「Kグラインド・ノーリーフリップアウト」という技を繰り出し、73・11点を出す。技自体は難しいものの、世界最高難度の1回目と比べると、得点が伸びるとは思えない技とセクションのチョイスだった。織田自身も「本当はランでやる予定だったが、皆さんに見せることができなかったので」とその理由を語った。

1回目で難度の高いトリックを成功したら、残り2回は「挑戦枠」としてさらに高得点の技にチャレンジするというのがこの種目のセオリーだ。しかし織田は「キックフリップ・フロントサイド・フィーブルグラインド」以上の得点を出せる技を持っていなかった。「まだ練習中で、大きいセクションでやったことがなかった。1回目のトリックが決まった時点で、私のベストスコアが決まっていた」と明かした。

「やっぱりランを決めないと、トリックが決まっても上位に行けない。(トップの中国人選手の)彼女が技を決めた時点で抜かされると分かっていたので、ランが大切だなと感じさせられた」

このままでは終われない

ただ、このままでは終われない。「キックフリップ・フロントサイド・フィーブルグラインド」を越えるトリックを練習中だという。「バックサイド系の技。その技でけがをしてしまって、一からになってしまったので練習中です」と明かした。若年層が活躍するスケートボード界で経験を積み、自分の課題も明確に分かっている。ランを確実に決める、トリックのレパートリーを増やす……。

「愛知の皆さんが応援に駆けつけてくださったことはうれしくおもっています」と地元への感謝を口にしつつ、「やっぱり金メダルを取りたかった」と悔しい表情を浮かべた織田。前回大会は4位で表彰台を逃し、今回は銀。成長を続けるその背中を、地元の仲間も見届けたに違いない。