2013年1月、柔道界にとって激震となる出来事が起きた。柔道女子日本代表を巡る暴力指導問題が表面化し、波紋が広がったのである。
当時全柔連理事だった山下泰裕氏にとって、何よりつらかったのは現場の指導者たちから届いたメッセージだった。「柔道をやっていると言えず新規の入部も全くない。子供たちが胸を張って柔道をやっていますと言える、そんな柔道界を作ってくれ」。その言葉は山下氏の心に強く響いた。
背景にあった選手15人の告発
この問題では、柔道女子トップ選手15人が全日本監督だった園田隆二氏らの暴力行為を日本オリンピック委員会(JOC)に告発していた。2020年東京五輪・パラリンピックの招致を前に、下村博文文部科学相らが「日本のスポーツ史上最大の危機」と批判するなど、注目を集めた。
山下氏は3月末、理事として当時の上村春樹全柔連会長のもとを訪れ、「暴力問題は日本の柔道界、スポーツ界に蔓延している。強くなるためなら多少の暴力も容認されるという意識が根底にある。暴力の根絶プロジェクトを発足させましょう」と提案した。
約1週間でメンバー決定
誰がやるんだと聞かれ、山下氏は私にやらせてくださいと頼んだという。約1週間でメンバーを決め、毎週のように集まって暴力の定義や罰則について熱く議論した。ただ、全柔連の執行部が全部辞めるところまでいくとは、その時は想像がつかなかったと振り返る。



