愛知・名古屋アジア競技大会2026(アジア大会)のバスケットボール男子で、日本代表が64年ぶりとなる決勝進出を果たし、銀メダル以上を確定させた。18日の準決勝では、難敵の中国を97―77の大差で破る会心の勝利。4本の3点シュートを含むチーム最多19得点を挙げた金近廉(千葉J)、中盤で連続して3点シュートを沈めたハーパージュニア・ジャン・ローレンス(東京SR)らの活躍が目を引いた。
勝因はリバウンドとターンオーバー
試合のスタッツを見ると、勝因になった数字が2つ浮かび上がる。リバウンド数は中国を上回る「47」、そしてシュート以外のミスで相手ボールとなった際に記録されるターンオーバー数はわずかに「3」。それぞれの数字は、日本の12人が極めて高い集中力で中国戦の40分間を戦い抜いたことを証明している。
試合後の記者会見で、吉本泰輔ヘッドコーチ(HC)は「集中力を保ち、試合の全局面で最大限のパフォーマンスを発揮できた」と選手たちをたたえた。
今大会の登録選手で比較すると、中国は12人の平均が200cm、最長身選手は221cm。一方、日本は平均195cmで、最長身は米国出身で日本国籍を取得したカーク・アレックス(川崎)の211cmだ。これまでの中国戦で何度も直面してきた、「サイズで劣る日本が、高さとフィジカルのある中国に対してどう戦うか」という構図そのものは同じだった。
ただ、この試合で特筆すべきは、ゴール下の争いで日本が優位に立ったことだ。リバウンド数では日本の47に対し、中国が41。カークやシェーファーアヴィ幸樹(仙台)、狩野富成(東京SR)、川島悠翔(シアトル大)ら、日本のインサイド陣がボックスアウト(リバウンド時のポジション取り)を徹底して中国選手を封じ込めた上、ウイングやガードの選手も積極的に飛び込んでこぼれ球を確保し、日本のポゼッション(攻撃回数)を増やした。
ポイントガード(PG)ながら5リバウンドを記録した小川敦也(宇都宮)は、「センターが体を張って自分より大きい選手を抑えてくれたこと、それだけじゃなくて周りの選手も含めた5人全員でボールを取りに行ったことが良かった」と振り返る。
ターンオーバー3に抑えた集中力
攻撃時にシュート以外のミスでボールを相手に渡してしまうターンオーバーをわずか「3」に抑えたのも大きい。一般的に、1試合でのターンオーバー数は「10」が目安とされるだけに、この試合での日本は、高い集中力を最後まで維持し、攻撃時に自滅することなくシュートまで持ち込めたことを意味している。
この要因について、吉本HCは「空いてるなら打つ、空いてないならボールを(味方に)出す。そのディシジョンメイキング(意思決定)を早くするというのを伝えた。やっぱりボールを持ってドリブル、ドリブルとなってしまうと攻撃が止まってしまうことが多い。とにかくパスで、空いている選手がいたらヒットするというのを心がけましょう、と言った」と明かす。
最多得点を記録したシューターの金近も、「1回のアクションで終わるのではなく、2回、3回とボールを動かしていくことで、相手のビッグマンも(ボールを持った選手とスクリーンを掛ける選手が連動して攻める)ピック・アンド・ロールにうまく対応できていない印象もあった」と話し、「そこが一番効いている、という話はチームとしてもしていた。共通認識を持って40分間ボールを動かしてペイントエリアにアタックできたのは大きかった」と充実した表情を見せた。
決勝は韓国と再戦
アジアの頂点をかけた決勝は20日午後7時40分開始。1次リーグ最終戦で敗れた韓国と再戦する。昨季のB1長崎で優勝に貢献し、チャンピオンシップMVPも受賞したイ・ヒョンジュンら、フルメンバーで今大会に臨んでいる相手は手強い。
ただ、この短期間で若い日本代表が試合を追うごとに成長を見せていることも事実だ。長いアジア大会の歴史で、バスケ男子における日本の最高成績は「銀」。まだ手にしていない金メダルへの期待は大きい。



