山下泰裕氏(柔道家)は、自身の現役時代で最も誇りに思う記録として、対外国人選手無敗(116勝無敗3引き分け)を挙げた。203連勝や全日本選手権9連覇よりも価値があると強調し、日本柔道を背負う重圧の中で引退を決意するまでの胸の内を明かした。
対外国人無敗が「一番の誇り」
山下氏は、「私が現役時代の柔道人生で一番誇りに思っているのは、(ギネス記録となった)203連勝でも、全日本の9連覇でもない。対外国人選手無敗(116勝無敗3引き分け)なんです」と語る。国際試合で一度も負けたことがないという事実を、限られた時期ながら日本柔道を背負ってきた証しだと述べた。
重圧と引退の決意
しかし、自身が敗れれば日本柔道が敗れると言われる重圧も感じていた。ロサンゼルス五輪後の1984年11月、師匠の佐藤宣践氏に、翌年の全日本選手権を最後に現役を引退したいと伝えた。佐藤氏は驚いたが受け止め、全日本後に再考するよう勧めた。
最後の全日本選手権では、五輪後に殺到した依頼で思うような準備ができず、調子が上がったのは直前だった。決勝では3年連続でライバルの斉藤仁選手と対戦。どちらが勝ったか分からないような厳しい試合の末、判定で9連覇を達成した。
自問自答の末の決断
全日本の後、郷里の熊本に戻り、自宅の応接間で一人、3、4時間ほど誰にも会わずに自問した。現役を辞めても悔いはないか、やり残したことはないか――。そして引退の決意を固めた。
斉藤仁選手はロサンゼルス、ソウル五輪95キロ超級金メダリスト。山下氏の後に全日本監督も務めたが、2015年にがんのため54歳で死去した。



