熱い温泉から足が遠のきがちになる夏場に訪れたいのが、源泉の温度が25度未満の「冷泉」だ。九州・山口には、温泉やサウナと一緒に冷泉などを楽しめる施設がある。猛暑で疲れた体を冷たい温泉でリフレッシュしてみてはどうだろう。
熊本県・金桁温泉:冷鉱泉で期間限定の涼
7月上旬、熊本県宇城市三角町の「地域間交流施設 金桁(かなけた)温泉」。合併前の三角町にちなみ、三角形の屋根が五つ連なる特徴的な外観の建物には、特殊成分を含む冷鉱泉と温泉の浴槽があり、午後1時の開館直後から地元住民らが次々と訪れた。
源泉かけ流しの冷鉱泉は約20度。炭酸泉で、肌荒れの改善などの効果が期待できるという。指定管理者のグッドスタッフ(熊本市)によると、将来的にサウナの設置を検討していることや、高騰する燃料費の支出を抑える目的などで、昨年度から6~9月の期間限定で設けている。
江戸後期の1803年頃に開かれたとされる同温泉は、大正から昭和にかけて湯治客らでにぎわったが、戦後は人気が廃れ、旅館の廃業が相次いだ。転機が訪れたのは2015年。近くにある三角西港が「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界文化遺産に登録されたことで、地元住民から、観光客も立ち寄れる温泉の復活を望む声が上がり、宇城市が20年に開設した。
登山や魚釣りといったアウトドア観光で訪れた人が立ち寄ることも多い。施設近くの飲泉場では源泉をそのまま味わうこともできる。三角西港の観光ボランティアガイド、中田保紀さん(76)は「最初はひんやりとしているが、炭酸の泡が体を刺激することで次第に冷たくなくなり、血行が良くなったように感じる」と話す。同社担当部長の松井三喜夫さん(54)は「源泉の温度そのままで入れるので、この時期だけの冷泉を楽しんでほしい」と来場を呼びかける。
大分県・寒の地獄旅館:全国屈指の冷たさとサウナブーム
くじゅう連山の麓、標高約1100メートルにある大分県九重町の「寒の地獄温泉」。1928年創業の「寒の地獄旅館」の冷鉱泉は、13~14度と全国屈指の冷たさで知られる。「寒の地獄旅館」の冷鉱泉を紹介する武石さんは、1849年に見つかった源泉は弱酸性の硫黄泉で、毎分約2トンの湧出量を誇ると説明する。泉質の良さが高く評価されてきたが、近年のサウナブームを受けて2023年にサウナが新設され、遠く関東や関西からも愛好家が訪れる。



