病への向き合い方を歴史から学ぶ特別展、鳥取市歴史博物館で開催中
病への向き合い方を歴史から学ぶ特別展、鳥取市歴史博物館で

古代から現代までの病への向き合い方を資料からひもとく特別展が、鳥取市歴史博物館で開かれている。中世のお札や新型コロナ禍で使用された防護服など約150点が並び、信仰や医学を駆使してきた人々の歴史を振り返る。

中世の絵巻物に描かれた病と死

平安~鎌倉時代(12世紀頃)の絵巻物「病草紙」(国宝)には、様々な病や体調不良が描かれている。「霍乱の女」では、激しい下痢と嘔吐に見舞われる女性が登場する。前近代は症状に対して病名をあてるため、下痢や嘔吐を伴うものは全て霍乱にまとめられるという。

「眼病の治療」では、現在でいう「白内障」の治療の様子が描かれ、濁った眼球を針で刺して摘出し、目はつぶれて治療は失敗したと記される。薬や鍼灸が中心だった時代の外科手術の様子が分かる貴重な資料とされる。

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江戸時代の医学書と医薬の発達

死に対しての意識も、現代とは異なる。室町時代(16世紀)の絵巻物「九相詩絵」では、死者が屋外に放置され、白骨化し、墓に埋葬されるまでの九つの段階を描く。カラスや犬が死骸をついばむ姿は当時の死体の扱いを反映しており、葬送は放置に近かったとされる。

江戸時代中期(18世紀)には、オランダ語の医学書を翻訳した「解体新書」が刊行され、日本で西洋医学が受容されていく。医薬も発達し、1811年に販売された下剤「ウルユス」のユーモラスな看板は、展示室で目を引く。馬に乗り、薬品名を書いた旗のようなものを掲げる人物を立体的に表現する。「ウルユス」は、胃腸を「空にする」という意味から「空」の字を分解し、「ス」を合わせたという。

近代の伝染病対策とコロナ禍の教訓

近代になると、官民一体となって伝染病に対応するようになる。明治初年の島根県の条例では、都市衛生を維持するため、河川や街中にゴミを捨てることが規制された。1886年に日本でコレラが大流行した際の「流行悪疫退さんの図」では、コレラに見立てた虎のような獣を、市民と役人が一緒に退治する様子が描かれる。当時コレラは「虎列刺」と表記されていた。

新型コロナウイルスの世界的大流行は記憶に新しい。マスクをつけ、「密閉・密集・密接」を避ける日々を過ごした。100年前に世界で流行したスペイン風邪の時は、どうだったのか。感染予防を呼びかけるポスターには、「マスクをかけぬ命知らず!」という刺激的な言葉と、黒いマスクをつけた人々が描かれる。

当時の「鳥取県訓令第6号」では、各自予防に努めることや企業での感染拡大の予防策を求めている。今も変わらぬ対策がうかがえる。展示を担当した石井伸宏学芸員は「コロナ禍の経験に照らし合わせながら、展示資料を見てもらえれば」と話している。特別展「病と死」は10月25日まで。

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