「話が通じない日本人」が急増する理由と改善策 逆接表現に注目せよ
「話が通じない日本人」増加の理由 逆接表現が鍵

「この件、前にも説明しましたよね」。上司からそう言われた経験があるビジネスパーソンは少なくない。近年、職場や日常で「話が通じない日本人」が増加していると指摘されるが、その背景には単なる聞き取り能力ではなく、相手の主張を正確に読み解く「読む力」の低下があるという。

「読む力」の低下が招くコミュニケーション不全

元渋谷教育学園渋谷中学高等学校国語科専任教諭で、市野瀬教育研究所所長の市野瀬早織氏は、多くの人が「相手の説明を理解できない」状態に陥っている理由として、文章や会話の構造を意識的に捉える習慣が欠けている点を挙げる。特に、相手が本当に伝えたいポイントを見極めるためには、「逆接表現」に注目することが有効だと説く。

「しかし」「だが」「ところが」「一方で」といった逆接の言葉は、その後に話し手の核心的な主張が置かれることが多い。例えば、「確かにこの案には魅力があります。しかし、現状の予算では実現が難しいと思います」という発言では、「しかし」の後の「現状の予算では実現が難しい」が最も伝えたいポイントとなる。

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「相手の主張を探す人」が話を通すコツ

市野瀬氏は、すべての会話が機械的にこのルールで読めるわけではないとしつつも、「しかし」「一方で」「とはいえ」といった言葉が出てきた際に一度立ち止まることで、話の要点が前後で変わっていることに気づきやすくなると説明する。

例えば、上司が「あなたの努力はよくわかっています。ただ、今回の資料は結論が見えにくい」と言った場合、前半の「努力はわかっている」だけを受け取って安心するのは誤りだ。この発言の要点は「資料の結論が見えにくい」という指摘にある。一方、後半だけを切り取って「自分の努力は評価されていない」と落ち込むのも正確な理解とは言えない。相手は努力を認めた上で改善点を伝えているのだ。

「話が通じる人」は、相手の言葉をただ聞くのではなく、言葉と言葉のつながりを見ながら、その奥にある「主張」を読み取っている。この「読み方の型」を身につけることで、文章だけでなく、人の言葉や状況の受け取り方も変わってくる。

「読む力」は基礎力としての重要性

市野瀬氏は、このスキルは受験テクニックに留まらず、仕事や人間関係、SNSでのコミュニケーションにも役立つと強調する。現代社会では情報過多の中で相手の意図を素早く正確に把握する力が求められており、「読む力」は単なる国語力ではなく、日々の判断やコミュニケーションを支える基礎力であるという。

「話が通じない」と感じる場面が増えているなら、まずは相手の逆接表現に耳を傾け、その後に続く主張を意識的に探してみることが有効な改善策となるだろう。

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