24時間365日診療を掲げる「コンビニ病院」が増加しているが、その利便性の裏で深刻な医療ミスが起きている。医師の武井智昭氏(高座渋谷つばさクリニック院長)は、自身の著書『寿命格差という罠』(日東書院本社)の中で、便秘と誤診された男児が精巣を失った事例を紹介し、コンビニ病院の危険性を警告している。
誤診が招いた悲劇
ある男児が腹痛を訴え、コンビニ病院を受診した。医師は「便秘」と診断し、簡単な処置のみ行った。しかし、実際の病名は精巣捻転であり、適切な処置が遅れた結果、男児は片方の精巣を失うことになった。武井氏は「コンビニ病院では、医師が短時間で多数の患者を捌くことを優先され、深い診察が行われない傾向がある」と指摘する。
コンビニ病院の実態
コンビニ病院とは、365日24時間診療を謳う医療機関を指す。確かに、夜間や休日に気軽に受診できる利点はある。しかし、武井氏によれば、そうした施設には知識や技術が未熟な「ハズレ」医師が混ざりやすいという。背景には、人手不足を補うために経験の浅い医師を配置するシステムや、経営優先の姿勢がある。
実際、酩酊したまま診察室に現れた医師や、日曜に子供の風邪を診るだけで1万8000円を請求するケースも報告されている。これらの事例は、コンビニ病院が「場当たり的な医療」に陥りやすいことを示している。
ハズレ医者を見抜くポイント
武井氏は、患者側がハズレ医者を避けるためのポイントを挙げる。まず、Googleマップの口コミで「診察が短い」「説明が不十分」といったコメントに注目する。また、「病院ランキング」だけに頼るのは危険で、実際に受診して医師の態度や説明の丁寧さを確認することが重要だという。
さらに、武井氏は「コンビニ病院はその場限りの治療になりがちで、継続的な健康管理には向かない」と述べ、かかりつけ医を持つことの重要性を強調している。
医療のコンビニ化がもたらすリスク
「コンビニ受診」という言葉が示すように、軽症患者が救急外来を気軽に利用することで、重症者の治療が遅れる問題も指摘されている。一方、医療提供側のコンビニ化は、医師の過重労働や診療の質の低下を招く。武井氏は「便利さだけで病院を選ぶと、取り返しのつかない結果を招く可能性がある」と警鐘を鳴らす。
本稿は、武井智昭『寿命格差という罠』(日東書院本社)の一部を再編集したものである。



