生まれつきの才能は必要ない。東大に「逆転合格」するための科学的に正しい勉強法とは何か。ネットで話題の「精緻化」と「インターリーブ」について、現場で多発する致命的な誤解を解きほぐす。
「精緻化」とは何か?認知心理学者が解説
東大合格者を多数輩出するドラゴン桜財団代表理事の西岡壱誠氏が、認知心理学者で『認知心理学者が教える最適の学習法 ビジュアルガイドブック』(東京書籍)の監訳者である岡崎先生にインタビュー。同書は文部科学省が示した次期学習指導要領の検討資料でも参照されている。
「精緻化という言葉はなんとなく聞いたことがあっても、現場では曖昧なまま使われている」と西岡氏が指摘すると、岡崎先生は「シンプルにいうと、精緻化とは『なぜ?』『どうして?』という疑問を自分で立てて、知識を掘り下げていく作業のこと。一問一答で覚えるだけの暗記とは対極にある」と説明する。
具体例:日本史「六波羅探題」で考える
西岡氏が具体例を求めると、岡崎先生は日本史の「六波羅探題」を例に挙げた。「多くの授業や参考書では『鎌倉幕府が朝廷を監視するために京都に設置した機関』と書いて、そこで説明が止まってしまう。しかし、ここで立ち止まって子どもに問いかけてほしい。『なぜ六波羅探題を作る必要があったの?』『なぜ朝廷を監視したかったの?』『なぜ幕府と朝廷は対立していたの?』——そうやって“なぜ”を一段ずつ降りていくと、承久の乱という具体的な事件にたどり着き、当時の朝廷と幕府の力関係や、武家政権の不安定さまで見えてくる」と述べた。
「一問一答だった知識が急に立体的になる。覚えるべき用語は同じ『六波羅探題』一つなのに、頭の中での収まり方が全く違ってくる。精緻化とは、知識と知識をつないでネットワークを作っていく方法だとイメージすると、現場でも使いやすい」と岡崎先生は強調する。
「インターリーブ」の誤解:交互にやるだけではない
もう一つの学習方略「インターリーブ」も現場で誤解されがちだ。単に異なる分野の問題を交互に解くことではなく、関連する概念を混ぜ合わせることで比較・対照を促し、理解を深める方法である。岡崎先生は「インターリーブは、例えば同じ単元内で異なるタイプの問題を混ぜることで、それぞれの特徴を明確にし、記憶の定着を促進する」と解説する。
これらの学習法は、単なる暗記ではなく、知識を有機的につなげる「深い学習」を実現する。生まれつきの才能ではなく、正しい方法で努力すれば誰でも東大合格は可能だと、西岡氏は締めくくった。



