大谷翔平選手と妻・真美子さんの第2子誕生が報じられ、SNSを中心に「年子(としご)」の母体負担に関する議論が再燃している。年子とは、年齢が1歳違いの兄弟姉妹を指し、一般的には妊娠間隔が12~18カ月未満の出産を指すことが多い。この話題について、現役の産婦人科医である鈴木陽介氏が医学的見地から解説する。
年子の医学的リスクとは
鈴木医師は「年子が母体に負担であるという主張には一定の根拠がある」としながらも、「個人差が大きく、一概に危険とは言い切れない」と指摘する。世界保健機関(WHO)は、次の妊娠までに少なくとも24カ月の間隔を空けることを推奨している。これは、短い妊娠間隔が母体の栄養状態の回復不足や子宮の修復不全を招き、早産や低出生体重児のリスクを高める可能性があるためだ。
しかし、鈴木医師は「医学的に理想的な間隔はあくまで統計上の目安。実際には、産後の回復状況や年齢、既往症によってリスクは変わる」と強調する。例えば、35歳以上の高齢出産では、妊娠間隔を空けすぎると加齢によるリスクが増大するため、医師と相談の上で早めの妊娠を選択するケースもある。
産後の排卵と予期せぬ妊娠
鈴木医師は特に注意を促す点として、「産後、生理が戻る前に排卵が起こることがある」という事実を挙げる。産後はホルモンバランスの変化により、最初の生理前に排卵が先行することが珍しくない。そのため、産後の避妊を怠ると、意図せず短期間での妊娠につながる可能性がある。
「お産のあとに生理がいつまでも戻らないと思っていたら、いつのまにか妊娠していた、という方にお会いすることはめずらしくありません」と鈴木医師は語る。妊娠間隔を計画する際には、避妊方法についてもパートナーと十分に話し合う必要がある。
キャリアと妊娠タイミングの複雑な事情
鈴木医師の外来では、キャリアと妊娠のタイミングに悩む女性からの相談が後を絶たない。「再来年の〇月に関わってきたプロジェクトの本番があるので、来年の〇月から〇月に生まれるのであれば妊娠したいけど、○月を越えるなら○月までは妊娠したくない」といった具体的な希望を聞くことも多いという。
自然妊娠の場合、排卵日に適切にタイミングを取ったとしても、1周期あたりの妊娠確率は20~25%程度とされる。鈴木医師は「妊娠を望むタイミングで必ず妊娠するとは限らない。時間がかかることも想定した上で計画を立てる必要がある」と助言する。
パートナーとの協力が鍵
妊娠間隔の問題は女性だけのものではない。鈴木医師は「育児や家事の分担によって母親の負担は大きく変わる。妊娠間隔を考えるときには、ぜひパートナーと話し合ってください」と訴える。特に年子の場合、乳児と幼児の同時育児が発生するため、パートナーの協力が不可欠だ。
最終的に、妊娠・出産は個人差が大きく、医学的な一般論だけでなく、自身の体調や生活環境を考慮した上で、産院の医師に相談することが重要だと鈴木医師は結論づけている。



