昭和学院秀英、高2理系必修「理数探究」 ドミノ倒しや脱げにくいスリッパ研究
昭和学院秀英「理数探究」 ドミノ倒しやスリッパ研究

千葉市にある昭和学院秀英中学校・高等学校は、高校2年の理系選択者を対象にした「理数探究」を昨年度から実施している。生徒たちは自ら設定したテーマについて1年かけて研究を重ね、3月の最終発表会でポスター発表を行った。担当教諭は「探究を通じて発表能力も身につけてほしい」と導入の狙いを語る。

理系クラスで必修、週2時間の探究授業

同校は、グローバル教育、サイエンス教育、探究活動「秀英アカデミア」の三つに力を入れており、その方針を踏まえて昨年度スタートしたのが高2の理数探究だ。中学からの内部進学生の理系クラスで必修授業とし、週2時間が充てられている。

生徒たちは物理、化学、生物、数学を中心に研究テーマを見つけ、実験や観察、考察を行い、研究成果をポスターにまとめて発表する。探究活動は個人または数人のグループで行い、1学期にテーマ設定、2学期に実験・研究・考察、3学期に成果発表という流れで進む。

理科の理数探究担当・澤田航平教諭は、「サイエンス教育の充実を図るため、理系生徒全員を対象にした探究教育を考えた」と導入の背景を話す。「これまでの探究活動は、部活動を中心に希望者が行うことが多かったのですが、一般の生徒にも探究の場を与えようということで、全員でやってみることにしたのです」

身近な疑問から生まれた研究テーマ

昨年、理数探究に取り組んだ現・高3生の小西崚太君と辻滉世君は、「ドミノ倒しの法則 The Law of Domino Effects」というテーマで物理の探究を行った。ロッカーの中で参考書が片側に倒れる現象からドミノ倒しを連想し、物理的に説明できるのではないかと考えたという。

2人は重さ6.0g、縦4.5cm、横2.2cm、幅0.8cmのドミノを1mの長さに等間隔で並べ、最初のドミノが倒れてから最後のドミノが倒れるまでの時間を計測。間隔を1cmから0.5cm刻みで変えて5回の実験を行い、「ドミノの間隔と倒れる時間の関係は分数関数で表せる」と結論づけた。小西君は「スローモーション機能を使ったのはいいアイデアだった」と振り返る。

同じく物理を選んだ古野間百花さんと小北久瑠実さんは、「脱げにくいスリッパを作ろう~ストレスフリーなスリッパ歩行を目指して~」というテーマに取り組んだ。「図書館で履くスリッパが脱げやすく、ストレスを感じていた」と古野間さんは動機を話す。

2人は足とスリッパの接地面積が最も少ない箇所にずれ防止構造を設ければ摩擦力が増加すると予想し、カーボン紙を使った実験や振り子実験を実施。接地面積を増やすことで脱げにくいスリッパを作れると結論づけた。古野間さんは「先行研究がほとんどなかったので、自分たちで実験方法を考えなければならなかった」と難しさを語る。

発表の場で得た学びと今後の展望

履修者の約8割は、姉妹校の昭和学院中学校・高等学校で開催された「昭和学院探究フェスティバル」に参加し、ポスター発表を行った。古野間さんは大学教授から「身近なところから新しい着眼点でおもしろいテーマを見つけたね」と褒められたことが印象に残っていると話す。

また、全員が3月の最終発表会でポスター発表を行い、明治大学理工学部教授の矢崎成俊氏や千葉大学特任教授(当時)の秋本行治氏らから講評を受けた。小西君たちはポスター発表に加え、300~400人の聴衆を前に口頭発表も行ったが、想定外の質問にうまく答えられなかったという。「答えられなかったことは悔しいですが、僕たちの発表を真剣に聞いてくださって、とてもありがたく感じました」と小西君は話す。

澤田教諭によれば、今年度の高2は初年度の改善点を踏まえ、テーマ設定を早めに行うよう学習スケジュールを組んだという。探究活動ではテーマ設定が最も重要で、決定までに時間を要するためだ。「高1の授業担当者とも連携して、早い段階から探究的な要素に触れられるようにしたい。研究成果を蓄積し、伝統として下級生に受け継がれていけばいい」と今後の展望を語った。