科学的に正しい勉強法とは?東大「逆転合格」の作法と精緻化・インターリーブの誤解
東大逆転合格の作法 精緻化とインターリーブの誤解

先天的な才能がなくても、正しい方法で勉強すれば東大合格も夢ではない――。偏差値35から東京大学に合格した異色の経歴を持つ西岡壱誠氏(一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事)が、科学的根拠に基づいた学習テクニックを伝授する。漫画『ドラゴン桜2』(講談社)の編集担当も務める西岡氏は、後天的に身につけられる「頭をよくする方法」を提唱し、そのエッセンスをまとめた著書『なぜか結果を出す人が勉強以前にやっていること』は3万部を超えるベストセラーとなっている。

科学的に正しい勉強法とは?

『ドラゴン桜』の中では、「勉強とは合理性と効率」「脳と身体のメカニズムを相乗した科学的トレーニング」という言葉が登場する。この考え方に共感し、「子どもには科学的に正しい勉強法をさせたい」と願う保護者や教師は多い。しかし、西岡氏は「科学的根拠(エビデンス)の質の中身まで踏み込んで語られる場面はまだ多くない」と指摘する。そこで今回は、認知心理学の知見を学校教育に橋渡しする研究を続ける岡山大学学術研究院教育学域・教育心理学講座の岡崎善弘先生に話を伺い、科学的に正しい勉強法の核心に迫った。

学習において重要なキーとなる「精緻化」

精緻化(elaboration)とは、新しい情報を既存の知識と結びつけて深く理解する学習方略である。岡崎先生によれば、単なる暗記ではなく、「なぜそうなるのか」を自分なりに説明したり、具体例を考えたりすることで記憶の定着が格段に向上するという。しかし、現場では「精緻化=とにかくたくさん書き出すこと」と誤解されるケースが多く、効果が半減していると警鐘を鳴らす。正しい精緻化は、能動的に情報を処理し、自分の言葉で再構成することが肝要だ。

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最近よく聞く「インターリーブ学習」の本質

インターリーブ学習とは、複数の種類の問題やトピックを混ぜて学習する方法で、ブロック学習(同じ種類の問題をまとめて解く)よりも長期記憶に効果的とされる。岡崎先生は「インターリーブの効果は確かだが、実践する際に『ただランダムに出題すればいい』という誤解が広がっている」と指摘。例えば、数学の異なる単元をランダムに解くだけでは、かえって混乱を招く。重要なのは、問題を解くたびに「どの公式を使うか」を自分で判断するプロセスを促すことであり、そのための適切な難易度設定とフィードバックが不可欠だという。

子どもが“腹落ちする”学習体験を大人がデザインする

西岡氏は「子どもが自分ごととして学びを捉え、『なるほど』と腹落ちする体験をいかにデザインするかが大人の役割」と強調する。そのためには、単に勉強法を教えるだけでなく、子ども自身が試行錯誤し、成功体験を積める環境づくりが重要だ。岡崎先生も「エビデンスを現場にそのまま押し付けるのではなく、子どもの実態に合わせて柔軟に適用する必要がある」と話す。科学的に正しい方法であっても、子どもが納得し、継続できなければ意味がない。保護者や教師は、精緻化やインターリーブの本質を理解した上で、子ども一人ひとりに合った学習デザインを提供することが求められる。

西岡氏の連載は、次回以降も科学的に正しい勉強法の実践例を紹介していく。生まれつきの才能に頼らない「逆転合格」の作法は、多くの学習者にとって希望の光となるだろう。

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