リモートワークの普及により、仕事の生産性向上が期待される一方で、会社と社員のつながりが希薄化しているとの懸念が人事部長から示された。「どこでも仕事ができる」反面、「どこに住んでもいい」わけではなく、社会保険や住民税の手続き、通勤交通費の規定、労災適用など、会社が把握・管理すべきバックオフィス業務は山積みだ。
地方移住した社員の事例
実際に、ある社員が会社に無断で地方へ移住し、リモートワークを続けていたケースがあった。会社から指摘を受けた彼は慌てて東京に戻ったが、労務管理の手間を増やしただけで、成長した様子は見られない。「パソコンさえあれば仕事は回るから、会社には言わなくてもいいと思った」という本音が透けて見える。
人事部の危機感
この事態に人事部長は強い危機感を覚えた。リモートワークで個人の利便性は最大化されたが、会社と社員のつながりが希薄になり、「単なるタスクの受発注関係」にまで遠のいてしまっていると感じている。
若手育成への懸念
また、人事として最も危惧しているのは、リモート環境下における若手の育成だ。今どきの若手社員は生成AIを駆使して見栄えの良い企画書を作るが、中身を深掘りすると内容が薄いことが多い。ネットやAIの情報のツギハギで、自社のリアルな状況や顧客の感情に根差していない。
仕事における真の判断力や交渉力は、生身の人間同士がぶつかり合う「場数」でしか養われないというのが、人事部長の持論だ。



