現在、2030年度のスタートに向けて、学習指導要領改訂の議論が進んでいる。以前の記事で書いたように、今回の文部科学省のチームは「最強メンバー」と評されるが、元文科省キャリア官僚の寺田拓真氏(広島県総務局付課長、福山市教育委員会学校教育部参与)は「おやおや?」と感じることが出てきたという。
「現場の先生にわかりやすく」に黄色信号
寺田氏は、「これで本当に、学校現場にとって、わかりやすく使いやすいものになるだろうか……?」という不安を表明。次期学習指導要領がやっぱり難解になりつつあると指摘する。その背景には、日本の学校教育の「最重要課題」と「2つのポイント」があるという。
なお、本記事の内容は、文部科学省や所属機関の見解ではなく、筆者個人の意見である。
学習指導要領が十分に機能していない2つの問題
寺田氏は、学習指導要領が十分に機能していない問題として、小学校では「動機付け」、中学校・高校では「転移」の問題が深刻だと指摘。カギは「統合的な理解」と「総合的な発揮」にあると述べている。
現在の学習指導要領は、知識基盤社会の中で子どもたちに必要な資質・能力を育むことを目指しているが、現場の先生にとっては内容が抽象的で、具体的な授業に落とし込みにくいという課題がある。特に、小学校では学習への動機付けが不十分で、中学校・高校では学んだ知識を実生活に転移する力が身についていないとされる。
「統合的な理解」と「総合的な発揮」がカギ
寺田氏は、これらの問題を解決するためには、教科横断的な「統合的な理解」と、実際の状況で知識や技能を「総合的に発揮」する力を育むことが重要だと主張。次期学習指導要領では、これらの概念をより明確に打ち出す必要があるとしている。
しかし、議論が進むにつれて、内容が再び難解になりつつあることに対し、寺田氏は「現場の先生にわかりやすく」という当初の目標が達成できるかどうか、懸念を示している。



