天皇陛下が皇族数確保について「国民の理解が得られるものに」と異例のご発言をされた。この発言は、皇室典範改正をめぐる議論が複雑化する中で行われた。
高市首相の発言が波紋
高市首相は6月12日、日本維新の会の藤田文武共同代表らと首相官邸で会談した際、「自民党と維新の連立政権なので、まず制度設計の細かいところまで両党で詰めてほしい」との意向を伝えた。この発言が野党側を刺激した。
中道改革連合の小川淳也代表はすぐに「独断の対応を取ることがないよう慎重にお願いしたい」と反発。国民民主党の玉木雄一郎代表も自身のX(旧ツイッター)に「『立法府の総意』は無視ということか」と書き込んだ。
維新の藤田共同代表は「通常の法案も与党プロセスを先にする。(高市首相は)たぶん、そういう感覚でおっしゃられたと思う」と釈明したが、自民党幹部も「せっかく順調に来たのに、余計な発言で今後の展開が読めなくなった」と顔をしかめた。
2017年の特例法制定時との違い
今回の「立法府の総意」を検証すると、さまざまな問題点が浮き彫りとなる。立憲民主党「安定的な皇位継承に関する検討本部」の長浜博行本部長は10日の全体会議で、「皆がことほぐことができる道筋をつけたプロセスこそが、立法府の総意だったのではないか」として、退位を実現した特例法制定を振り返った。
当時、野党第1党だった民進党の担当者の1人として全体会議の協議に携わった長浜氏は、「論を終結させたのは主権者である国民の声、民意だ」と指摘。その上で、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する案のみを「了」とし、養子案には賛同しない姿勢を示した。
長浜氏の対応は、小泉純一郎政権で2005年に有識者会議がまとめた女性・女系天皇を容認する報告書を念頭に置いたものだ。長浜氏は当時、「象徴天皇制のわが国において、天皇が男性でなければならない理由はどこにあるのか」と問題提起し、「皇位は皇統に属する男系男子が継承する」と定めた皇室典範1条をめぐる国民的論議を全体会議で引き起こすことを呼びかけた。
2017年の特例法は、自由党を除く各党の賛成で成立。共産党も賛成に回り、2019年に退位が実現した。
事態をさらに複雑化させかねない懸案
今回の議論では、女性皇族の結婚後も皇族身分保持や、養子案の是非などが焦点となっている。天皇陛下のご発言は、国民の理解を得ることの重要性を示唆しており、今後の改正議論に影響を与える可能性がある。与野党間の溝は深く、早期の合意形成は困難とみられる。



