通信制高校卒業後の「見えない壁」、さとのば大学が挑む新たな高等教育の形
通信制高校後の壁、さとのば大学が挑む新たな高等教育

日本の教育現場が今、静かに、しかし決定的に変容しています。近年、通信制高校の在籍生徒数は右肩上がりで増加しており、今や高校生の「11人に1人」が通信制を選ぶ時代になりました。それに呼応するように、通信制大学への進学傾向も高まりを見せています。

通信制の「見えない壁」とその先に待つ課題

一方、オンラインを中心に単位を取得できる通信制は効率的である反面、画面の向こう側だけで完結しがちで、他者と深く関わる機会を逸して社会から孤立しがちになるリスクもあります。また、無事に高校を卒業できたとしても、次のステップに進む段階で「見えない壁」にぶつかる若者は少なくないのではないでしょうか。

「偏差値で測られる既存の進学ルートに乗るのは、自分にはちょっと違う気がする」「次のステップへ、どう一歩を踏み出していいかわからない」——こうした違和感や不安を抱える若者たちに、もし社会に出る前、自分を丸ごと受け止めてくれるリアルな世界が用意されているとしたらどうでしょう。

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「さとのば大学」とは何か

合格率は3%、ハーバード大学より難しいともいわれる「ミネルバ大学」をご存じですか。2014年創立のアメリカの大学で、キャンパスを持たず、世界を半年ごとに移動しながら学ぶユニークな大学です。このミネルバ大学の日本版とも評されるのが「さとのば大学」です。

さとのば大学は、文科省が認可する一般的な4年生大学ではありませんが、連携する通信制大学とのダブルスクールによって大卒資格(学士)の取得もできます。その魅力は全く新しいリアルな学びの場を提供していること。発足から数年が経ち、初の卒業生を世に送り出した同校の現在地から、これからの高等教育のあり方を探ります。

通信制高校の卒業生だけでなく全日制の進学校からも注目

通信制高校を卒業後、さとのば大学へ進学した現在3年生の長曽凜也さんは、水産業について学んでいます。彼のように、通信制高校出身者だけでなく、全日制の進学校からも注目を集めるさとのば大学。その学びのスタイルは、地域を旅しながら実践的な経験を積むというもの。これにより、学生は自らの興味を追求し、社会とつながる力を養います。

教育ジャーナリストでマザークエスト代表の中曽根陽子氏は、「通信制高校の増加に伴い、卒業後の進路選択に悩む若者が増えている。さとのば大学のような新しい学びの場は、そうした若者にリアルな経験と自己肯定感を与える可能性を秘めている」と指摘します。

保護者の本音「結果的には、わが子にとって最高の選択だった」

実際に、さとのば大学に子どもを通わせた保護者からは、「結果的には、わが子にとって最高の選択だった」という声が聞かれます。従来の教育システムでは得られなかった、実践的なスキルや人間関係の構築能力が身についたと評価されています。

圧倒的な経験値が育む「真の生きる力」が社会から評価

さとのば大学での活動は、学生に自分への信頼を生み出します。地域でのプロジェクトやインターンシップを通じて得られる経験は、就職活動やその後のキャリアにおいても強みとなります。企業からも、「学歴よりも人間力」という観点で、さとのば大学出身者の実践力が評価され始めています。

中曽根氏は、「偏差値だけでは測れない生きる力を育む教育が、今後ますます重要になる」と強調します。

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一歩踏み出し、違う環境に身を置くことで見えてくる教育の未来

通信制高校からさとのば大学への進学は、一見リスクがあるように思えるかもしれません。しかし、そこでは「見えない壁」を乗り越え、自分自身の可能性を広げるチャンスがあります。教育の未来は、既存の枠組みにとらわれない多様な選択肢を提供することにあるのかもしれません。