通信制高校から「さとのば大学」へ、卒業後の新たな選択肢に注目
通信制高校からさとのば大学へ、卒業後の新たな選択肢

通信制高校を卒業した後、大学進学に悩む若者たちの間で「さとのば大学」が新たな選択肢として注目を集めている。同校は、4年間で全国各地を旅しながら実践的な学びを提供するユニークな教育機関だ。現在3年生の長曽凜也さんは、通信制高校からこの大学に進学し、水産業を学んでいる。

「さとのば大学」とは何か

さとのば大学の最大の特徴は、学生が各地域を転々としながら、その土地の大人やコミュニティと深く関わる点にある。同校の調査によると、学生が1年間で深く関わる地域の大人(自分の名前を認知し、一個人として丁寧に扱ってくれる大人)は平均60人以上にのぼる。4年間で異なる地域を旅すれば、卒業時には日本中に約300人のロールモデルが存在し、30人以上の「いつでも未来のことを相談できる大人」がいる状態が作られるという。

この環境は、他に類を見ない豊かな「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)」を形成する。現場を支えるのは、各地域でまちづくりやNPO、社会起業家として活躍する「受け入れコーディネーター(メンター)」たちだ。彼らは学生を温かく、時に厳しく見守る。

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通信制高校からの進学、その背景

長曽凜也さんは通信制高校を卒業後、「周囲が行くから」と一般入試で大学進学を模索したが、自分にとっての意味を見いだせず受験を辞めた。そんな時、父親の紹介でさとのば大学を知り、学長の兼松佳宏氏の話を聞いて進学を決めた。

1年目は宮城県女川町で街づくり事業に関わり、海洋ごみについて学ぶプロジェクトを立ち上げた。2年目は岐阜県郡上市で自然農の米作りに没頭し、3年目の現在は「水産業について学びたい」と島根県隠岐郡の島前地域で活動している。

学生の変化と保護者の声

長曽さんは「中3の終わりに不登校になってから、社会に対してずっと身構えていました。でも、地域に入ってみると、人々は僕をラベリングせず、一人の人間として丁寧に扱ってくれました。いろいろな大人と知り合い、都会にいては得られないつながりを感じながら日常を送る中で、自分の人生を生きている充実感を得られるようになりました」と語る。

保護者からも「結果的には、わが子にとって最高の選択だった」という声が上がっている。さとのば大学は現在、全日制の進学校からも強い注目を集めており、全国の全日制高校と相次いで連携協定を結んでいる。

今後の展望

通信制高校の卒業生にとって、学歴だけでなく人間力を育むこのような学びの場は、今後ますます重要性を増すと考えられる。さとのば大学の取り組みは、従来の教育システムに新たな風を吹き込んでいる。

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