国際学力調査で日本が好成績も、読解力の低下に警鐘
国際学力調査で日本が好成績も、読解力の低下に警鐘

経済協力開発機構(OECD)が実施する15歳(日本では高校1年)を対象とした国際学習到達度調査(PISA)で、日本は読解、数学、科学の3分野全てで加盟38カ国中1位という好成績を収めた。日本の義務教育段階での学力向上の取り組みが一定の成果を挙げたことは評価できるが、手放しでは喜べない状況だ。

読解力は有意に低下、長文読解に課題

経年変化が分かる得点を今回(2025年調査)と前回(2022年調査)で比較すると、読解力は13点減の503点にとどまり、統計的に「有意な低下」が見られた。数学的応用力は525点(11点減)、科学的応用力は538点(9点減)で、いずれも統計的には横ばいだった。

PISAの読解力の問題は、文章だけでなくグラフや図表などの資料を読み取り、自分の考えや意見を述べる力を問うもので、数学など他の教科の基礎となる重要な能力だ。今回の調査では、長文を読むことが苦手な生徒が多いという課題も浮き彫りになった。出題文を十分に理解する前に質問を見て答える「急ぎ読み」の傾向が見られるという。この傾向は日本を含む加盟国全体に共通する課題だ。

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ネット社会の影響と二極化の進行

ネット社会では、文章の中で目立つキーワードだけを拾い読みし、誤読するケースが大人にも見られる。子供の頃から長い文章に親しむ読書習慣を改めて見直す必要があるだろう。

また、数学や科学的応用力を含む3分野全てで低得点者層の割合が増えており、上位と下位の学力差が広がる二極化の傾向が強まっている。調査結果をさらに分析し、子供たちの苦手分野に応じた授業改善や工夫につなげることが求められる。

アジアの競争相手と今後の課題

OECDがこのような調査を行うのは、学力や教育力が経済力や国力に反映されるからだ。調査には非加盟国も参加しており、読解力の1位はシンガポール(535点)、2位は中国の北京・上海・江蘇・浙江(527点)、3位は台湾(508点)で、日本は4位となっている。中国は都市部など参加が限定的で単純な比較はできないが、アジアのライバル国の教育熱の高さも認識しておくべきだ。

日本には、科学への興味・関心や楽しさを感じる生徒の割合がOECD平均より低いという課題もある。生徒がさらに先を学びたいと思うような授業を実現するため、教員の指導力向上が欠かせない。

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