手術前の口腔ケアで術後肺炎リスク約4割減、徳島大が6万人データで実証
手術前の口腔ケアで術後肺炎約4割減、徳島大が6万人解析

徳島大病院口腔管理センター長の青田桂子准教授(54)の調査で、手術前に患者に口腔ケアを行うと、術後に肺炎にかかるリスクを下げられることが分かった。同病院の患者約6万人のデータ分析では、肺炎の発症率を約4割減らせており、医科と歯科が連携して口腔ケアを行うよう呼びかけている。

口腔ケアの具体的な内容と実施状況

手術や化学療法などを受ける患者は免疫力が下がり、細菌に感染して肺炎を引き起こすことがある。予防のため、歯科医や歯科衛生士による手術前後の口腔ケアは2012年に保険適用された。

徳島大病院では手術前、歯科医が根元や歯肉が膿んでいるなど感染源になる歯がないかをレントゲンで調べて処置する。歯科衛生士はスケーラーという電動器具で歯石を取り除き、回転ブラシなどで歯を磨き、消毒する。意識障害があって誤嚥しやすい重症患者も手作業で歯石をとる。

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年間3000件近く実施し、がんや心臓病といった重症患者の口腔ケアは院内で、それ以外は地域の歯科医院を紹介している。

データ分析で判明したリスクと効果

青田准教授は、2009~2024年の16年間、手術を受けた約6万人のデータを分析。胃や腸に直接栄養を送る「経管栄養」の患者では、一般の患者に比べて術後肺炎になるリスクが6.3倍、集中治療室(ICU)の入院患者は7.3倍高かった。

さらに、術前の口腔ケアが未実施の場合、リスクが1.73倍高いことも判明した。口腔ケアの実施数が増えるにつれて肺炎の発症率は低下しており、術後の肺炎のリスクを約4割減らせていた。

青田准教授は「術前口腔ケアには患者の安全を守る効果があり、医科、歯科連携の重要性が裏付けられた。口腔ケアの大切さを訴え、一般の人にも理解を広げたい」と話す。

県歯科医師会の取り組みと今後の展望

医科と歯科が連携して口腔ケアを行う試みは県歯科医師会も他県に先駆けて行っており、2014年から徳島市民病院に歯科医らを派遣している。今は歯科医3人、歯科衛生士8人が交代でチームを組んで年間約1900件、手術前後の口腔ケアを行う。県南部や西部の病院でも、地域の歯科医院の歯科衛生士らが携わっているという。

同会の飛梅悟・医療連携部長(54)は「術前の口腔ケアは肺炎など感染症のリスクを下げ、術後もケアを続けることで患者は口からしっかり栄養がとれ、早期回復につながる」と強調。各地域の拠点病院にも歯科医らの派遣を目指すという。

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