通信制高校から「さとのば大学」へ、人間力で人生を切り拓く若者たちの挑戦
通信制から「さとのば大学」、人間力で人生を拓く若者たち

通信制高校を卒業後、「さとのば大学」へ進学した長曽凜也さん(3年生)は、現在水産業について学んでいる。教育ジャーナリストの中曽根陽子氏が、従来の学歴偏重ではない教育の可能性を探る。

「さとのば大学」の保護者、確信に満ちた声

「結果的には、子どもにとって本当に、これ以上ないほどいい選択をしたと思っています。以前に比べて格段に視野が広がり、自分の頭で考えて周囲と共に未来を切り拓いていく姿を見ると、あの頃の心配が嘘のようです。親が考える“幸せなルート”が必ずしも最善なわけではありません。子どもの力を信じて、この環境に飛び込ませて本当によかったです」

さとのば大学の保護者たちに共通しているのは、「結果に対する確信の高さ」だ。親の価値観でレールを敷くのではなく、子どもが「自分で人生のハンドルを握る」のをサポートした結果、想像以上にたくましく育った我が子の姿に、深い信頼を寄せていることが伝わってくる。

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圧倒的な経験値が育む「真の生きる力」

さとのば大学が育むのは、教科書の正解を覚えるスキルではなく、社会に出てから本当に必要とされる「生きる力=人間力」だ。それを身をもって体現しているのが、同校の第1期卒業生である小曽根雅彰さんだ。

雅彰さんは、一般的な就職活動のレールに乗ることはなかった。さとのば大学での圧倒的なプロジェクト実践とその輝きが評価され、在学中に学校法人角川ドワンゴ学園から「ぜひうちで働かないか」と請われ、正社員としてキャリアをスタートさせたからだ。

地域課題に挑み、評価される

もともとは料理人を志望していた雅彰さん。1年生の時に滞在した岡山県西粟倉村で、「林業を守るための獣害対策として始めたジビエの販売事業を広げたい」という地域の課題に対し、地元の子どもたちへの食育と職育を兼ねたプログラムを企画した。

地元の小学生と一緒にイベントを作ったり、学校給食でジビエのレシピを提供するなど、地域を巻き込んだ確かな成果を上げた。こうした「自ら問いを立て、周囲を巻き込んで形にする」活動そのものが評価され、就職へとつながったのだ。

卒業生の振り返りと恩師の変化

雅彰さんは、さとのば大学での4年間をこう振り返る。「さとのば大学での経験は、リアルな社会の中で、挑戦と失敗を繰り返す時間でした。仕事上のもどかしさを感じた時にも帰れる場所であり、フィードバックをもらうことで前向きに取り組むことができました。ここで培った経験が、何よりも『自分への信頼』につながっています。だからこそ、今、自分の足でしっかりと歩けている感覚があります」

かつて通信制高校への転校を決めた時、恩師からはネガティブな反応をされたという。しかし、さとのば大学を卒業し、社会人として生き生きと活躍する現在の姿を見て、その恩師は「あの時、本当にいい選択をしたんだね」と、雅彰さんの歩んできた道を心から認め、祝福してくれるようになった。

「学歴」ではなく「人間力」で未来を拓く

「学歴」という看板がなくても、地域でのリアルな実践を通じて得た「人間力」、そして「自分なら大丈夫」と思える自己信頼感によって、彼らはいくらでも人生を切り拓いていける。いや、むしろ強みにもなっているようだ。

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