通信制高校から「さとのば大学」へ:リアルな社会で学ぶ新たな選択肢
通信制からさとのば大学へ:リアルな社会で学ぶ選択肢

通信制高校を卒業した後、特定のキャンパスを持たずに日本全国の地域で学ぶ「さとのば大学」が、新たな教育の選択肢として注目を集めている。現在3年生の長曽凜也さんは、水産業について学びながら、宮城県女川町を拠点に活動している。

「さとのば大学」とは何か

さとのば大学は、特定の校舎を持たないユニークな大学だ。学生たちは提携する全国13カ所の地域(宮城・女川町、秋田・五城目町、岐阜・郡上市など)に身を置き、シェアハウスなどで暮らしながら、地域の中で実践する「プロジェクト学習」を軸に学ぶ。全国各地の在校生や地域共創領域のトップランナーである講師陣とオンラインでつながりながら、理論のインプットと対話で学びを最大化する。

立ち上げの背景

さとのば大学の発起人であり主宰の信岡良亮氏は、この学校を立ち上げた背景を次のように語る。「人生のゴールデンタイムである大学の4年間を、座学だけで終わらせるのはもったいない。地域というリアルな社会に飛び込み、挑戦と失敗を繰り返せる場を作りたかったのです。ここには、既存の学校システム自体に違和感を持っていたり、居場所のなさを感じていたりした子たちも多く集まります。だからこそ、カリキュラムの最初のステップでは、安心して自分自身の創造性を発揮できる空間づくり(自己探究)を何よりも大切にしています」

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信岡氏は大学卒業後、東京のITベンチャー企業でWebディレクターを務めた後、島根県隠岐諸島の中ノ島(海士町)という人口2400人弱の島に移住。2008年に株式会社風と土と(旧名:巡の環)を起業し、6年半の島生活を経て東京に拠点を移し、2015年に株式会社アスノオトを創業。2018年より地域を旅する大学「さとのば大学」の発起人として活動している。

通信制高校卒業生だけでなく全日制進学校からも注目

さとのば大学では、正解を学び知識を増やす「学び1.0」、自分の興味をもとに主体的に学ぶ「学び2.0」に対し、個人の関心と他者との関係性を掛け合わせて実際に社会と関わる学びを「学び3.0」と位置づけている。学生たちは地域の祭りの実行委員会や地元企業、まちづくり会社などに関わりながら、他者と深く関わる「練習」を重ねる。1・2年生は自分自身のプロジェクト(マイプロジェクト)を作ることを目指し、学年が上がるにつれて、それを「他者や地域のためのプロジェクト」へと進化させていく。

「さとのば」での活動が生んだ自分への信頼

長曽凜也さんは通信制高校を卒業後、さとのば大学に入学。水産業をテーマに学びながら、地域の人々との関わりを通じて自己肯定感を高めたという。さとのば大学の取り組みは、従来の学歴偏重の価値観に一石を投じ、人間力で人生を切り拓く新たなモデルとして、教育関係者からも注目されている。

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