子どもアドボカシー広がる 意見表明支援、学校でも啓発講座
子どもアドボカシー広がる 学校でも啓発講座

子どもたちの意見に耳を傾け、時には大人がその代弁者となる取り組み「子どもアドボカシー(意見表明支援)」の動きが広がっている。児童相談所(児相)を設置する自治体のほとんどが支援事業を開始。これまで中心だった児童養護施設などで暮らす子どもたちへの対応だけでなく、学校での啓発講座なども始まった。

法改正で本人の意向確認が義務化

「アドボカシー」は、擁護や代弁を意味する。主に英国や北欧を中心に浸透してきた。国内では2018、19年に、虐待で幼い子が亡くなる事件が相次いだことを受け注目を集めた。

児相が保護をした子どもの処遇を決める際、保護者の意見や児相の裁量が優先される傾向があったが、22年に児童福祉法が改正され、本人の意向を聞くことが知事らに義務づけられた。

調査で実施自治体が8.5倍に

福岡市のNPO法人「全国子どもアドボカシー協議会」は3月、児相を設置する82自治体(都道府県、政令市など)への調査を公表。回答した69自治体のうち、子ども自身が意見を表明できる環境整備について、68自治体が実施しており、法改正以前の8・5倍に増えた。

整備の主な内容はNPO法人や弁護士会などに委託し、「アドボケイト」と呼ばれる支援員を一時保護所や児童養護施設などに派遣する事業。「家族や友達に会いたい」「スマホやゲームを使いたい」といった意見を聞き、施設に改善を求めることもある。

災害時や学校現場でも活用

アドボカシーは災害時の対応にも生かされている。熊本県と熊本市から委託されている同市の団体で活動しているアドボケイトには、7月の熊本地震の後、子どもたちから「怖くて眠れない」といった声が寄せられた。団体代表の山下祈恵さん(39)は「日常から子どもと関係性を築き、災害時にも希望に応じて話せる環境を整えることが大切だと再認識した」と語る。

福祉の現場に限定せず、意見表明権を尊重すべきだとの考え方もある。国内外の取り組みに詳しい西南学院大の栄留里美准教授(社会福祉学)は「ヤングケアラーや不登校、いじめ、体罰など、子どもが抱える悩みは多岐にわたる。全ての子どもの意見表明権は守られるべきだ」と指摘する。