線路内で作業員らが列車にはねられる「触車事故」は、2008年10月の運輸安全委員会発足以降、2024年末までに全国で9件発生し、死者を出している。近年は人間の注意力だけに頼らない自動警報装置の導入が進むが、根絶には課題も残る。
繰り返される触車事故、原因は「待避指示が伝わらなかった」など
運輸安全委員会の鉄道事故調査報告書によると、これまでの事故は「待避指示が伝わらなかった」「見張りに専念する人員が配置されていなかった」などが原因とされる。防止策として、安全委は「作業前の打ち合わせで見張り員の配置場所や作業員の待避場所、お互いの伝達手段を確認する」「見張り員は見張り業務に専念する」「作業員らがルールを理解し、適切に行動できるよう教育、訓練を実施する」などを挙げるが、似たような原因で事故が繰り返されている。
自動警報装置の導入広がる、JR東日本は全作業員に携帯義務づけ
鉄道各社はハード面の対策として「列車接近警報装置」を導入。カーブなど見通しの悪い線路脇に設置され、列車が接近すると表示器が点滅して作業員に知らせる。東武鉄道も導入しているが、4人が死亡した東武日光線新鹿沼駅の事故現場には設置されていなかったという。
JR東日本は「人間の注意力は絶対ではない」として、全作業員に携帯タイプの警報装置の携帯を義務づける。信号表示につながる軌道回路を使って列車の接近を検知し、「上り接近」などの音声で知らせる。JR西日本や東海などもGPSを使って見張り員に列車接近を知らせたり、作業員のヘルメットに取り付けた子機が鳴動して待避指示を伝えたりするシステムを導入している。
対策導入後も接触事故の事例、ソフト面の充実がカギ
ただ、こうした対策を導入していても作業員の接触事故になりかねない事例もあった。JR西日本によると、3月3日に発生した事例があり、ハード面の整備だけでなく、ソフト面の充実も併せて進めることが重要とされる。



