中東情勢の緊迫化が続く中、原油由来の「ナフサ(粗製ガソリン)」を使用する医療用手袋やエプロンなどの供給に影響が出ている。岐阜県内の医療機関の関係者からは、思うように入手できず、秋のインフルエンザ予防接種への対応に不安の声が上がっている。
医療機関の現状と購入制限
今年4月、ホルムズ海峡の閉鎖の影響が現れ始めた頃、養西診療所(岐阜県養老町)の松原理英院長(49)は、医療用品の卸問屋から医療用手袋とエプロンの卸売りができなくなり、注射筒(シリンジ)も3箱限りの購入制限を伝えられた。
同診療所は2023年に開業し、内科、小児科、消化器内科、耳鼻咽喉科などの診療を行っており、1日当たり50~60人の患者が訪れる。医療用品は卸問屋だけでなく、県医師会協同組合からも仕入れていたが、同組合も今年3月に供給を停止していた。
医療用手袋は、治療時に医療従事者の手に針が刺さらないなどの感染症対策に使用されている。同診療所では、不足分をインターネットのショッピングサイトから購入して対応しているが、卸問屋からの購入費よりも3倍ほど高額だという。
秋のワクチン接種への懸念
秋頃にはインフルエンザ予防のためのワクチン接種が始まる。医療用品の入手が困難な状況が続けば、ワクチン接種を十分に行うことができないと懸念されており、松原院長は「消耗品や薬品も物価高で、やっていけない。シリンジも奪い合いになっている。国は医療機関に医療用品が届くように対策をしてほしい」と訴えている。
県による国への要望活動
岐阜県東京事務所は14日、資源エネルギー庁と中小企業庁の長官宛てに、中東情勢を踏まえた物資・資材確保体制の強化や安定供給に向けた具体的な施策を記した提案書を提出した。県が同様の要望活動を両庁に行うのは5月に続いて2回目となる。
提案書には、岐阜県が県内の各種団体に行った聞き取りを基に、〈1〉地域の業界団体による物資・資材確保体制構築に関わる支援〈2〉国による流通の目詰まり解消や防止する施策の実施〈3〉企業主体の物資・資材確保体制構築に関わる支援――について、それぞれ具体的な施策などが盛り込まれている。



