熊本地震の被災地で、観光自粛の動きが経済的な「二次被害」を生んでいる。7月28日の地震発生から4日後、取材チームは熊本県内に入り、氷川町や八代市の家屋倒壊現場、宇城市の避難所などを訪れた。直接的な被害は県南部が中心だが、ほかの地域にも別の形の「被害」が広がっていた。
宿泊キャンセルは20億円超、阿蘇地方が3割占める
県によると、8月6日までに受け付けた宿泊施設のキャンセル額(暫定値)は、県全体で20億6300万円に上る。熊本での観光を控える動きが進んでおり、中でも阿蘇地方の金額は全体の3割超を占めた。
阿蘇地方は避暑地としても人気があり、夏は本来、書き入れ時。阿蘇市内の観光事業者は「観光客が来ないことには生活も苦しい。大丈夫な場所には来てほしい」と話す。
「阿蘇は元気です」と言えない悩みと、開催されたコンサート
一方で、市を取材すると「被害の大きかった地域のことを考えると『阿蘇は元気です』とはなかなか言えない」と悩む声もあった。
そんな中、予定通りに開かれたイベントもある。歌手の長渕剛さんは18日、熊本市内のコンサートを中止せず、「明日へ向かう力を届けたい」と舞台に立った。地震後、改めて開催が発表された際、木村敬知事は自身のSNSに「ホテルも飲食も風評被害でとても苦しんでいます。そんな中での開催宣言と熊本へのエール。ありがとう長渕剛さん!」と投稿した。
被災地に心を寄せながら、できるだけ経済活動は止めない。それも「思いやり」の一つの形だと感じた。



