紀伊水害15年、五條市大塔町で慰霊祭 参加者年々減少
紀伊水害15年、五條市大塔町で慰霊祭 参加者年々減少

2011年9月の紀伊水害から15年を迎えた4日、岩盤ごと崩れる深層崩壊で8人が死亡、3人が行方不明となった奈良県五條市大塔町で慰霊祭が開かれた。遺族や住民、市職員ら約30人が参列し、犠牲者の冥福を祈りながら災害に強い地域づくりを誓った。

深層崩壊の爪痕と慰霊碑

大塔町宇井地区では、熊野川対岸の山腹が幅220メートル、高さ250メートル、長さ350メートルにわたって崩れ、集落を土砂がのみ込んだ。崩れた跡を望む広場には慰霊碑が立つ。近くの体育館で開かれた大塔町自治連合会主催の慰霊祭では、花で飾られた祭壇に向かって僧侶が読経し、参列者が焼香して手を合わせた。式典後、慰霊碑には花が飾られた。

この日は雨脚が強く、例年より参列者は少なかったが、懐かしそうに語り合う遺族や住民らの姿もあった。式典後の帰り際、参列者は慰霊碑に献花した。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

遺族の思いと市長の誓い

母シズコさん(当時72歳)を亡くし、父勝信さん(同73歳)が行方不明になっている中村彰作さん(61)(五條市)は今も、土砂で流される前の実家の姿を夢に見るという。「じい(勝信さん)が行方不明になっとる」と仕事中に家族から電話を受けたことや、駆けつけた市役所で現地の写真を見てしゃがみ込んだことを振り返り、「(勝信さんは)もう見つからないとわかっていながら、早く見つかってほしいと願っている」と複雑な心境を見せた。

当時、消防団員として現場に駆けつけた平岡清司市長は式典後の報道陣の取材に、「15年を経て、市民の防災に対する意識も向上し、災害への備えを行っている」と述べ、「今後も市民の安全を守る」と誓った。

人口減少と地域の未来

旧大塔村だった同市大塔町は水害後、人口が急減。村内では最も大きな集落だった宇井地区はかつて40戸以上あったが、今は11戸だという。宇井自治会長の三木栄次さん(67)は「参加者は年々減っているが、できる限り続けていきたい」と望んだ。同町自治連合会長の住谷敏朗さん(73)は「空き家を買って週末だけ過ごす人もいる。災害が人口減の引き金になったが、力を合わせて生き抜きたい」と希望をつないだ。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ