福井県で29日から30日にかけて降り続いた記録的な大雨は、各地に大きな被害をもたらした。建物の浸水や道路の冠水が相次ぎ、住民らは水が迫り来る中、避難所に身を寄せた。
自宅前が腰まで冠水、家族4人で避難
「自宅前の道路の冠水が、腰ぐらいの高さまできていた。逃げなければ閉じ込められていたかもしれない」
広範囲が浸水した坂井市春江町に住む会社員女性(59)は、市内の避難所で一夜を明かした。自宅付近は29日夜から断続的な大雨に見舞われ、30日午前1時頃に玄関のドアを開けると、道路は冠水し、玄関につながる屋外の3段の階段の2段目まで水が迫っていた。
気象庁によると、同市では午前1時20分頃までの1時間降水量が57ミリで、観測史上最大を記録していた。「水位がもっと上がってくるかもしれない」と不安を感じ、高齢の母親ら家族4人で避難所に移動した。30日夕方になっても自宅周辺は水が引いておらず、帰宅を断念した。「家の中も浸水しているかもしれず、片付けが大変になりそう」と話した。
坂井市で66軒の浸水、空港も冠水
県によると浸水被害がひどかった坂井市では、30日午後5時現在、66軒の床上・床下浸水を確認。住宅街では、消防隊員がボートを使って住民の救助にあたる様子が見られた。
ドクターヘリなどの拠点になっている同市春江町の福井空港は、滑走路や駐機場の一部が冠水した。空港事務所によると、ドクターヘリの活動に支障はなかったという。
同市丸岡町で酒店を営む斉藤実さん(63)は30日午後、自宅兼店舗の片付けに追われていた。店の中が30センチほど浸水したといい、「商品は泥水でぬれてしまったので、全部捨てるしかない」と話した。
特別警報発令、土砂災害の危険性
県内では福井、勝山、大野の3市に「レベル5大雨特別警報」が出され、土砂災害の危険性が高まった。
福井市市波町の避難所に家族3人で身を寄せた40歳代の会社員女性は、自宅のすぐ後ろが山で、斜面を茶色い水が滝のように流れる様子を見て、避難を急いだ。自宅の周囲は冠水しており、着替えや食料品など手に取れるものを取って午前7時頃、自宅を出たという。「雨が本当にひどかった。山がいつ崩れてもおかしくないと思うと、怖かった」と振り返った。
大野市では国道158号のトンネルの出入り口付近の擁壁が崩れ、土砂が路面に流出した。県奥越土木事務所によると、当時、現場は通行止めで車などに被害はなかった。
鉄道は、JR越美北線の福井―九頭竜湖駅間で終日運転を取りやめるなどした。



