阪神大震災からの復興を願って作られた合唱曲「しあわせ運べるように」を作詞作曲した元神戸市立小学校音楽教諭の臼井真(うすい・まこと)さんが亡くなった。65歳だった。
震災体験から生まれた名曲
臼井さんは1960年、神戸市東灘区生まれ。兵庫県立芦屋高校、大阪芸術大学演奏学科を卒業後、1983年に神戸市立小学校で音楽教諭に就いた。震災時、自宅で大きな揺れに見舞われ、自宅が倒壊。発生から約2週間後、避難先の親類宅のテレビで多くのビルが倒壊する街の様子を見て、「地震にも負けない強い心をもって」「傷ついた神戸をもとの姿にもどそう」などの歌詞をつづり、メロディーを付け、「しあわせ運べるように」を完成させた。
全国の被災地で歌い継がれる
曲は、新潟県中越地震(2004年)や東日本大震災(2011年)、能登半島地震(2024年)でも、歌詞の「神戸」を「ふるさと」やその土地の名に置き換えるなどして歌い継がれ、海外でも英語や中国語など10以上の言語に翻訳されてきた。2021年には二つ目の神戸市歌に指定された。
教職人生とその後の活動
臼井さんは2021年に小学校教諭を定年退職。その後、神戸親和女子大学(現・神戸親和大学、神戸市北区)で、教師を目指す学生らの指導に当たってきた。
関係者の悼む声
阪神大震災からの「心の復興」を掲げて創設された兵庫県立芸術文化センター(兵庫県西宮市)の芸術監督で、「しあわせ運べるように」を何度も指揮してきた佐渡裕さん(65)は「命の大切さを皆に伝えてくれる曲を残してくれた。震災を語り継ぐ上で、これからも大事な役割を果たしてくれる」と話した。
臼井さんが芦屋高校時代に所属していたコーラス部の先輩で、テノール歌手の山本裕之さん(73)は「音楽に誠実で、楽器を新たに学ぶなど、子どものために努力を尽くす人だった。『もう少し作曲も講演活動もやりたい』と張り切っているところだったのに残念だ」と悼んだ。



