経済的な理由で受診が遅れるなどして患者が死亡する事例が昨年、愛知県内で2件確認されたことが、県民主医療機関連合会(愛知民医連)の調査でわかった。生活困窮者向けの無料低額診療事業の活用を愛知民医連は呼びかけている。
死亡したのは50歳代女性と60歳代男性
2025年の1年間を対象に、加盟する7病院、14診療所、6歯科での調査結果を公表した。それによると、亡くなったのは50歳代女性と60歳代男性。
女性は夫と子ども2人の4人暮らしで、コロナ禍で夫の収入が減り、生活費やカードの返済、子どもの奨学金の支払いに追われ、貯蓄がない状態が続いていた。元々甲状腺に持病があり、通院のたびに2万~3万円の医療費がかかっていたが、経済的な理由で通院が途絶えていたという。
息苦しさを訴えて昨年、無料低額診療の相談に訪れた際には甲状腺が肥大しており、他の病院に搬送されたものの、受診から3か月後に死亡した。愛知民医連は、治療の中断がなければ症状の悪化に至らなかった可能性があるとしている。
国民健康保険料の支払い困難で受診拒否
一方、60歳代男性は年金受給の開始に伴って生活保護が廃止され、国民健康保険料の支払いが困難になった末、本人が受診を拒否して死亡に至った。
調査は全日本民主医療機関連合会が2005年から毎年実施。今回は全国683事業所を対象に、18道府県で42事例が報告された。愛知民医連は把握できた事例は「氷山の一角」との見方を示している。
無料低額診療事業の利用を呼びかけ
生活困窮者やDV被害者、無保険者向けの無料低額診療事業は、県内では名南病院(名古屋市南区)や千秋病院(一宮市)などで実施されている。
医療費のうち、患者の自己負担分を医療機関が負担して診療する制度で、患者自身は無料か、本来より低額で受診できる。2025年度の利用者は49人で、このうち25人が新規利用者だった。愛知民医連は受診の相談を電話(052・883・6997)などで受け付けている。



