東京都世田谷区役所で、元職員のAさんが上司の課長から「髪型がダサい、坊主にしろ」などのパワハラ被害を受け、区の相談窓口が診断書を無視するなどの不適切対応があったことが明らかになった。Aさんは退職を余儀なくされ、加害課長は停職3カ月の処分を受けた。
パワハラの実態と相談窓口の対応
Aさんは2025年、所属課の課長から繰り返しパワハラ行為を受けた。課長はAさんの髪型を「ダサい」と批判し、「坊主にしろ」と強要。さらに、業務中に「お前は使えない」などの暴言を浴びせた。Aさんは区のハラスメント相談窓口に訴えたが、当初は「パワハラに該当しない」と追い返された。相談担当幹部は「課長に話をするときは1回メールで連絡する」と約束したが、反故にされた。
その後、Aさんは区議に相談。区議から事情を聴かれた相談担当幹部は翌日、前言を翻し「今回の案件はハラスメントにあたる言動があったことが濃厚」とメールで通知した。しかし、部長が実施した部内アンケートや聴き取り調査では、加害課長に告発が知られ、Aさんは課長の声が聞こえるだけで手が震えるほどのストレス状態に陥った。Aさんは有給休暇を申請し、退職を決意。退職前の6月上旬には、課長がAさん不在の職場で「(Aさんの再就職先に)オレが行って驚かせてやろうか」と報復とも取れる発言をしていた。
診断書無視と区の対応
一方、同じく被害を受けたBさんは強いストレスから休職に追い込まれた。5月に職場復帰する際、「ストレス因となった職員とは距離を取るなどの配慮が必要」との医師の診断書を提出したが、無視された。Aさんも在職中、総務部によるヒアリングを受けることはなかった。退職後、区のホームページ「区長へのメール」で事実を訴えたところ、総務課長と人事課長から即座に連絡があり、「事情聴取まで進められなかった。現在準備中」との回答があった。
Aさんは「区長宛にメールしなければ、総務部から私へのヒアリングは実現しなかった。私の問いに対して『(部長による調査で)関係者から事実確認ができたから実施するつもりはなかった』と答えていました。被害者の声を直接聞こうとしないのですから、パワハラ調査に本気で取り組む気があったとは思えない」と語る。
パワハラ課長は停職3カ月の処分
区はハラスメント調査の結果、加害課長を停職3カ月の懲戒処分とした。区のハラスメント防止対策について、総務部が実施する「事故監察」や外部弁護士を交えた「分限懲戒審査委員会」の審議プロセスが明らかにされたが、被害者からは「有名無実」との批判が上がっている。



