世田谷区役所で、元職員Aさんが上司から「髪型がダサい、坊主にしろ」などのパワハラを受け、相談窓口に訴えたものの、逆に追い返され、診断書も無視される非道な対応を受けたことが明らかになった。Aさんは同僚Bさんと共に2025年4月に相談窓口の担当課長に初めて相談し、その後3カ月で退職に追い込まれた。
パワハラの実態と相談窓口の対応
Aさんは上司から繰り返し人格否定のような暴言を浴びせられた。しかし、区の相談窓口は「行為者に相談者が特定される可能性がある」と説明した上で、慎重に事実確認を進めると回答。一方、個別の相談内容については「お答えを差し控えさせていただきます」と回答を拒否した。
また、ハラスメント対策委員会による審議結果は人事課長、所属長、相談者に報告することになっているが、AさんとBさんには報告・説明が行われなかった。さらに、パワハラで懲戒処分を受けた職員は原則として元の職場で勤務を続けるとされ、区は「上司が行為者と被害者との関わりに目を配るなど、再発防止に努める」と説明した。
区の体質と被害者の訴え
Aさんは「世田谷区では管理職同士が互いにかばいあって、問題の表面化を恐れる体質がある。そのためハラスメントへの認識が浅く、相談対応や調査もいい加減になる」と批判。自身の経験を踏まえ、「同じことを繰り返さないために、世田谷区役所が生まれ変わってほしい」と訴えた。Aさんは今も区に残る先輩や同僚のために、再発防止を強く望んでいる。
安全配慮義務違反の可能性
労働契約法上の安全配慮義務違反となる可能性があるにもかかわらず、区はパワハラ行為者を元の職場に残す方針を示した。専門家は「被害者が職場に戻りづらくなるだけでなく、再発リスクも高まる」と指摘する。区は「再発防止に厳しく努める」としているが、具体的な対策は明らかにされていない。
今回のケースは、公務員組織におけるパワハラ対応の課題を浮き彫りにしている。相談窓口の実効性や調査の透明性、被害者保護の仕組みについて、抜本的な見直しが求められる。



