大阪市西成区のメダデ教会で、牧師の西田好子さん(70)が、寝たきりの信徒イシズさん(80)に「死ぬなよ!生きろ!」と声をかけ続けている。イシズさんは誤嚥性肺炎で緊急入院し、西田さんは「最後にしたくない」と医師の提案を断り、回復を願って励まし続けた。
誤嚥性肺炎で緊急入院
イシズさんが高熱や嘔吐で緊急入院したのは3月8日の夜。病院に駆けつけた西田さんは、医師から「誤嚥性の肺炎ですね」と告げられ、言葉を失った。イシズさんはアパートで寝たきり生活を送り、会話もできない状態が続いていたが、この1年は病状が安定していた。信徒たちの献身的な介護のたまものだった。
信徒たちは野菜をペースト状にし、ベッドの角度を60度に調整し、スプーンで一口ずつ、のみ込んだことを確認しながらゆっくりと食事を運んだ。西田さんは「医療に限界はあるけど、愛に限界はあらへん。寄ってたかって愛を注いだってくれ」と信徒たちに呼びかけていた。
「最後やない。最後にしたくない」
入院から数日後、西田さんは担当医に「最後、好きなものを食べさせてあげましょうか」と告げられたが、断った。「最後やない。最後にしたくない」と、あふれそうになる涙をこらえ、無理やり笑顔を作り、病室に戻った。
西田さんはベッドの脇に座り、何時間も語り続けた。返事はないが、表情でコミュニケーションはできる。イシズさんが得意だった掃除や好きな歌謡曲の話になると穏やかになるが、別れた妻や2人の子どもに話題が及ぶと、顔をゆがめた。
「ええか、イシズ。また来るからな。死ぬなよ!笑え!」と西田さんが呼びかけると、鼻から管を入れられたイシズさんは、白内障で濁った目で西田さんを見つめ、かすれた声で「ハイ」と言った。手を振ろうとしたのだろうか、布団がかすかに動いた。



